2011年2月の中頃、ここは私立聖楽高校へ続く通学路。
その通学路を歩く男子生徒が一人、いや、どうやら同じ高校の同級生と合流したようだ………
(男子生徒)「おはよう友則。」
(友則)「おはよう充。」
(充)「あ、そうそう友則知ってる?最近日景が吉村と付き合ったらしいぜ?」
(友則)「マジで!?」
(充)「マジっぽいよ、今日本人に問い詰めるつもりだけどよ笑」
(友則)「お前そこはほっといてやれよ笑」
2人は挨拶をかわし、世間話をして笑いながら2人で歩いて登校しだした。
この男子生徒は斉藤充17歳。中肉中背のどこにでもいるごくごく普通の高校2年生。ある一点を除けば………
そして充の友達である友則と呼ばれるこの男子生徒は門山友則。スポーツが得意でバスケ部に所属しているため、中肉中背の充と比べると非常に身長が高い。
2人はこの高校で知り合ったクラスメイトである。
そうこうしているうちに2人は聖楽高校の2年2組の教室に入っていった。
(充)「おはよう神崎。」
(神埼と呼ばれた女子生徒)「あ、斉藤君!おはよう!」
この女子生徒は神埼照子。充と友則とは仲がよく、普段からこのように挨拶する間柄である。
(充)「なぁなぁ、吉村まだ来てねぇの?」
(友則)「おいおいいきなりそれかよ!お前容赦ねぇな!笑」
友則は驚きながらも笑って話を聞いていた。
(照子)「吉村君?まだ見てないよ。」
(充)「ちっ、つまんねぇな………」
充が教室に飾られた時計を見ると8時15分頃を指していた。
(充)「日景は俺苦手だから言いにくいしなぁ………」
(照子)「美代ちゃんならさっき見たよ。今はトイレにでも行ってるんじゃない?」
充は少し考え込んでこう言った。
(充)「………いや、やっぱり日景はいいわ。じゃ吉村が来るまで大人しく待ってようぜ笑」
(友則)「お前顔が悪魔みてぇになってんぞ笑」
(充)「うるせぇ笑」
そして充は自分の席に向かい、荷物を置いて席に座った。
(照子)「なんで斉藤君吉村君と美代ちゃん探してんの?」
(友則)「噂の真相を本人に確かめるんだとさ。まったくあくどい野郎だぜ笑」
(照子)「え~マジ!?斉藤君悪い人だな~笑」
(友則)「あいつが普通の人間ならまだマシだったのにな笑」
(照子)「ホントホント!!笑」
友則と照子は意味深な言葉を言いながら笑っていた。
そして8時20分頃、充が待ち焦がれた吉村聡が登校してきた。
(充)「お!来たな!!」
充は即座に立ち上がり、聡の元に駆け寄り聡の目の前に立ちはだかった!
(聡)「お、おはよう充………」
(充)「おはよう吉村君笑」
聡は充が突然目の前に立ちはだかった圧迫感と悪魔のような微笑を浮かべる充にたじろいでいた。
(充)「聞いたぜ吉村、お前最近日景と付き合ったらしいじゃねぇか?笑」
充は聡にしか聞こえないような声でニヤニヤと笑いながら聡にそう言った。
(聡)「え!?」
その言葉に聡は激しく動揺した!
(充)「お前わっかりやすいな~、やっぱこのネタマジだろ?笑」
悪魔のような微笑を繰り返す充を前に聡は………
(聡)「………やっぱり充には敵わないや。」
思ったよりもあっさりと日景美代と付き合っていることを充に告白した!
(充)「やっぱりそうかよ!やったじゃねぇかおめでとうな!」
充は本当に付き合ってることを確信すると、大声で聡を祝い平手で聡の肩を叩く。
(聡)「あ、ありがとう………笑」
この様子を教室の奥から見ていた友則と照子は………
(照子)「やっぱりホントだったみたいね。」
(友則)「そりゃ充を前にしちゃ正直に言うしかねぇだろ笑」
(照子)「でもなんだかんだで斉藤君はいい人だよね。」
(友則)「かなり腹黒いけどな笑」
(照子)「確かに笑」
2人は微笑みながら充と聡の様子をただただ見守っていた………
今日だけを振り返っても充の話をしている時は誰もが笑顔になっていた。それは友達に腹黒いとまで言われる充の真の人間性を体現しているように思える。
だが先程も話した通り充はある一点を除いては普通の高校生。言い換えれば、そのある一点は充を普通の高校生に成しえない要素を含んでいるということだ。
結論から言うと、斉藤充は普通の人間ではない。