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7話:トウメイの足踏み

 唐突な事故ではあったが、トウメイの魔力の扱いは抜群に良くなっていた。

 水鉄砲の訓練も次のステップに入り、銃のイメージのみで魔力を飛ばすところまで発展した。

 街にも変化が起きた。

 トウメイが自身の魔力を掌握していくに連れて、結界が小さくなってきているのだ。

 トウメイの意思で元の結界の大きさにする事もできるのだが、それでは本末転倒なので、街の人々が結界を作るようになった。

 成長していたのはトウメイだけではない。避雷針を作るのに苦戦していた魔法使い達はすっかり結界魔法を身に着け、その日の嵐に応じて当番制で働いている。

 そのお陰でトウメイが無理して元々の魔力量を放出する必要も無くなった。


 後はトウメイが人に魔力を送り、魔法を発動させる事ができればゴールなのだが……

「今日もダメだった……」

 夕飯を食べながらトウメイはしょぼくれる。

 ここ数週間、トウメイはパレットとの魔法行使を試みていた。

 魔力の授受さえできれば簡単な魔法は行使できるのだが、それすらもできていない。

 魔法訓練は、近親者との“馴らし”をするのが通例で、それに倣って妹のパレットに魔力を送る練習、逆に受け取る練習をしているのだが、それが上手くいかない。

 ちなみにパレットは父親のブルと馴らしを行った。

「夢雲の件があったとはいえ、ここまでが順調過ぎたんだよ。僕はこのステップに行くまで1年以上はかかると思っていた」

「そうは言っても“馴らし”ができないのはさすがに凹みます……。ようやく魔法が使えると思ったのに」

「魔法に憧れはあった?」

「それは、はい。もちろん。本来の目的は魔力のコントロールなのは忘れてませんよ?でも、あと少しで魔法が使えると思うと嬉しくて」

「そう思えるならきっと大丈夫。馴らしもどうにかなるよ」

「そう言ってくれるのは嬉しいですけど、もう耳にタコができるくらい聞いてますよ」

 しょぼくれたままのトウメイはさらに口を尖らせる。

「本当にあと少しだと思っているんだけどね。馴らしを近親者で行うのは、血縁による魔力の親和性の高さもあるけれど、信頼できる相手である事も理由なんだ。子供の頃は家族が世界だからね。無垢に信じる相手となら馴らしも簡単なんだ。

 トウメイはそもそもの体質の問題もあるけれど、成長する事で自我も持ったから、馴らしが成功するまでも時間がかかるんだと思う」

「大人になってから身に付けるのは大変ということですね」

「いや、言うほど大人って年齢では無いでしょう」

「そんなこと無いですよ。成人してますし。ね?パレット?」

「ん?そうだね」

 パレットはそっけなく返事をする。

(馴らしが上手くいかないのはトウメイだけが原因じゃないかもしれない)スイリュウはそう思いながらもパレットに声をかけられずにいた。

 夢雲の一件からパレットの様子がおかしいのはトウメイもスイリュウも気づいていた。

 馴らしが始まってからそれは悪化して、今はスイリュウへのからかいもまったく行われない。トウメイとも積極的に話さなくなっている。


 夕飯を終えて、スイリュウはパレットと共に帰路につく。

 今日こそは何か改善の糸口を掴みたいと思うわけでもなく、普段通り並んで歩く。

「ねぇ」

 パレットが声をかける。

「どうした?」

「過去をやりなおしたいと思ったことはある?」


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