22話:スイリュウと河川敷
五人はテントを出て河川敷を訪れていた。
下流に向かうように堤防上の道を歩いている。
川沿いには草木が高々と茂っている。
「ねぇ、スイリュウ。この川って」
「うん、僕が滞留に止められた川だよ」
頭上のハナに気を遣って、遠回しにスイリュウが答える。
「そっか。確かに川に向かうには面倒だね」
堤防から川までの間に生い茂る草原に目をやりながらパレットが納得する。
「一人だったしね。誰かと一緒だったらおかまないなしに焼き払っていたかも」
「そんな事言うなよバカ」
悲しげな表情でパレットはスイリュウを責める。
「師匠も緊張しているんだろうなぁと思いますけど、さすがに冗談としてはナシですよ」
トウメイも責める。
「スイリュウ、おバカなの?」
頭上のハナが顔を覗き込む。
「そうだね、ずっとおバカだったかもしれない。パレット、ごめんね」
「わかればいいのよ」
無言の時間が流れていく。
ハナのご機嫌な鼻歌だけが流れている。
「ついた!」
ハナの視界に公園が映るや否や、ハナは叫んだ。
「じゃあ、話が終わるまではここで遊んでるね。ハナちゃん、ママと一緒に行こうね」
スイリュウの頭にしがみつくハナをミミが慣れた様子で下ろす。
「じゃあね~~~!」
ブンブンと手を振りながらハナとミミが遠ざかっていく。
「首とか肩は大丈夫ですか?」
トウメイがここまで肩車をしていたスイリュウを心配する。
「大丈夫だよ」
「年寄りなのに無理しちゃって」
パレットが毒づく。
「ずいぶんと年上に見ているなぁ」
スイリュウは苦笑する。
「まぁいいや、もう少し歩くから着いてきて」
そう言うとスイリュウは公園の中を歩きだした。
しばらく歩いて公園の端に辿り着くと、高台へと続く階段があった。
一段上る度に静寂と空気の冷たさが増していくようにトウメイは感じた。
階段を上りきると、一面の平地に等間隔に石柱が並んでいた。
「お墓ですか?」
トウメイは独り言とも、確認とも言えない声色で疑問を発する。
「あぁ、そうだよ。僕の事を話すにはここが手っ取り早いかなって思ってね」
スイリュウはそう話しながらも墓の間を歩いて行く。トウメイとパレットはおそるおそる着いて行く。
やがてスイリュウは一つの墓石の前で立ち止まる。
深呼吸をスイリュウがする。パレットもトウメイも身構える。
「今でもどこから話せば良いのか悩んでいるけれど、まずは事実だけ話そうか。
ここに眠っているのが僕に滞留を宿した女性。僕の恋人だった人だ」




