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BLACK SERPENT  作者: Mr. Bulldog
Season1
7/11

Chapter 6:錯綜

——金曜日、深川サイト付近。


トム・カーティスたちは、ネイルから渡された情報を元に緊急作戦を開始した。


「作戦は二段階に分ける。プランA、兵器の破壊——これはフォックスとスパイダーに。プランB、東京での犯行阻止は俺とローズが担当する」


アジトに緊張が走る。トムの指示に、各メンバーは無言で頷いた。


「時間がない。動くぞ」




——同日深夜、深川サイト。


変装したフォックスが研究所内に潜入。スパイダーの遠隔支援によるハッキングで、生物兵器『NEO 02』に関するファイルへのアクセスに成功。


「フォックス、侵入ルート異常なし。監視カメラを30秒止めた」

スパイダーの無線が耳元に響く。


「了解、今パスコード入力……アクセス完了。データを確認する」


フォックスは研究室の端末に接続し、ファイルを素早くダウンロードする。


「このフォルダだ。『NEO 02』……やはりPhase Sigmaの次段階だ」


「時間がない、あと20秒で再接続される」

スパイダーの声に、フォックスの手が速まる。


しかしその時、背後に人影。


「君、誰だ?」


白衣を纏ったグレース博士が立っていた。


「……しまった」


博士の目がフォックスの特殊サングラスに向けられる。赤いランプが点滅。


「変装が……バレた」


「フォックス、脱出ルートに戻れ! こっちでドアを開ける!」

スパイダーの声が焦りに変わる。


フォックスは即座に動き出す。机を倒し、煙幕を焚き、走る。


「くそ、警報が鳴った! ガードが向かってるぞ!」


施設内に赤色灯が点滅し、警備兵が殺到する。フォックスはサイドポーチから小型の閃光弾を投げ、前方を一瞬で眩ませる。


「あともう少し……出口まで——」


しかし角を曲がった先に、複数の兵士が銃を構えて待ち構えていた。


「動くな!」


フォックスは無念の表情で、両手を上げた。


——一方、アジト。


「日曜、午後2時……新宿と渋谷か」

トムがつぶやく。


「場所の指定は人混みの多さを意識してるわね」

ローズが頷いた。


犯行予定はこの週末の日曜午後2時。東京の二大都市で同時に『NEO 02』が起動されるという。


「当日、俺は新宿、ローズは渋谷を監視だ。だが……まずはフォックスを救い出す」




——土曜日、早朝。


トムは単独で研究施設への再潜入を試みる。


「変装は通じない。換気ダクトから侵入する」


施設のセキュリティは強化され、スパイダーの支援は使用不能。トムは一人で警備網をかいくぐる。




——研究施設内。


闇に紛れて進むトム。監視カメラの死角を縫い、静かに足を進める。警備兵とすれ違う瞬間、サイレンサー付きの拳銃で静かに無力化。


廊下の角で二人組の兵士と鉢合わせた瞬間、トムは床を滑るように滑り込み、脚を払って一人を転倒させ、もう一人の銃を肘で跳ね上げる。そのまま拳を叩き込み、二人とも沈黙させる。


「こっちは順調だ……」

トムは小声で独り言を呟き、さらに奥へと進む。


フォックスが閉じ込められている監禁室。電子ロックを開くと、そこには荒れた表情のフォックスがいた。


「遅かったじゃない」

「待たせた」


フォックスにロックピックを投げ渡し、自らは背後の足音に構える。


三人の警備兵が突入してくる。


トムは壁を蹴って跳躍、上から一人の首に肘を叩き込みながら、フォックスに叫ぶ。


「伏せろ!」


閃光弾を投げ、眩惑した隙に敵の武器を奪い、一人、また一人と倒していく。


「よし、行ける!」


フォックスと共に脱出ルートへ向かう。


「博士は?」「逃げた、奴らは先手を打ってた。兵器も東京に運ばれた」


トムは拳を握った。「急ぐぞ」




——同日、東京某所。


ネイルは淡々と部隊の編成を完了させていた。


「武器、現場配置完了。警備部隊、配置指示済み」


Zの幹部たちは、日曜の“実験”の成功に向け、全ての歯車を回していた。


ネイルの視線は、どこか遠くを見つめていた。


「来るんだな……スネーク」




——刑事ジョニー。


金曜日から調査を進めていたジョニーは、サミュエル・ケインという男に辿り着いた。


「……この顔……ネイル……?」


過去のデータベースを洗い出し、ジョニーは驚愕する。


8年前、壊滅したテロ組織“Σ”の幹部。

そのコードネームはネイル。


さらに、ニューヨークの爆破事件で使われた爆薬と、Σから押収されたものが酷似していることを知る。


「つまり……ZとΣは、つながっていたのか?」


調査を進めると、爆薬の製造元として『ノーザン・アーク研究所』の名が浮上。


——土曜日、跡地。


ジョニーが現地を訪れると、そこには何も残っていなかった。


「器具も、人の痕跡も……全部消されてる」


その静寂の中に、Zという組織の冷徹さがにじんでいた。


土曜日が暮れ、決戦の日曜が迫る中——東京という巨大都市が、音もなく危機に包まれていった。



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