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BLACK SERPENT  作者: Mr. Bulldog
Season1
3/11

Chapter 2:陰謀

――FBI非公式アジト・ニュージャージー州郊外


地下に設けられた仮設オペレーションルーム。マイク(スパイダー)の手元のモニターには、CIA内部記録への不正アクセスが並んでいた。


「見つけた。こいつが“ヴァイス”だった頃のファイルだ。コードネーム:ヴェクター・デルタ」


ザック(ベーカー)がうなずく。


「CIA内部でも、彼の記録は部分的に“黒塗り”されてる。極秘任務の痕跡すら残っていない。だが……この座標だけは消し忘れていた」


ザックが指差した座標は、**スウェーデンの兵器製造企業“ノーザン・アーク”**の旧研究所跡地を示していた。


「ヴァイスはこの企業と極秘契約を結んでいた。表向きは兵器研究のコンサルタント――裏では非合法兵器のテスト対象者の選定をしていた」


「実験台にされた市民……その資料はCIAにあったか?」


「ない。全部破棄されてる。でも、Zが持ってる可能性はある」


その夜。トムは一人、かつて逃げられた男を追って街の地下街へ向かっていた。フォックスのヴァイスへの変装により、男をおびき出すことに成功したのだ。


暗がりの地下通路。ジッポーを開閉する金属音が響く。

男は周囲を警戒しながら現れる。スーツを着た、背丈は平均よりやや高い、40前後と思われる顔にしては引き締まった体つき。


「……スネークか。お前が俺を呼び出したのか」

ネイルはトムに銃を向ける。だがそれと同時にトムの後ろに隠れていたローズがネイルに銃を向ける。


「お前に来てもらったのはこちらの質問に答えてもらうためだ。なぜ逃げた?」


「公で''スネーク''に会うのはリスクが高い。そうだろう?」

カチャン、カチャン、とジッポーを開閉しながらうつむく。


「……奴は“理想家”だった。少なくとも、最初はな」


男は、かつてZの兵器開発部門で監視業務をしているメンバーであった。


ネイルが語る――

ヴァイスは、CIA時代から“大いなる目的”という思想に傾倒し、その延長で非合法な兵器のテストを始めたこと。そして、その実験が制御不能になり、仲間の多くが犠牲になったこと。


「ヴァイスは、止まらなかった。“大いなる目的”のために“選別”が必要だと信じていた。」


「お前たちの言う、“大いなる目的”って何のことだ?」


「……話は終わりだ。答えはもう与えた。」

ネイルはそう言い残して足元に火薬をうちつける。


煙幕。ローズの発砲は遅すぎた。彼らの視界からネイルは消えた。


スパイダーが割り出したZの資金流入口――それは、ノーザン・アーク名義で作られた複数の“シェル企業”だった。

それらが資金を送っていた先、それは無名の中小企業。


「こいつは、“生物兵器”を作ろうとしている…?」


「違うな。より正確に言えば――**“人間の選別”に関わる何か”**だ」


ローズの声が低くなる。


接触後、ネイルはこう言い残す。


「あんたは今、巨大な扉の前に立ってる。けど、その扉の向こうにあるのは正義じゃない。見たこともない地獄だ」


「それでも俺は行く。仲間を殺したあいつを、止めなきゃいけない」


ネイルは小さなデータチップを手渡す。


「この中に、Zが次に動く“都市名”が入ってる。だが気をつけろ――お前は警察だけじゃない。“Zの内部”からも追われてる」


ザックがDNA解析を進める中、スパイダーが全画面アラートを叩く。


「トム――Zの活動ログに、新しいコードが追加された。“Phase Sigma”だ。翻訳すると……“選別フェーズ開始”」


選別――

その言葉の意味は、まだ誰にもわからなかった。


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