Chapter 1:追跡者たち
ニューヨーク市・FBI中央病院
退院の日の朝。
スネーク――トム・カーティスは、無言でリストバンドを外すと、無地のジャケットを羽織って病室を出た。出迎えにいたのは、懐かしい顔。
「よう、退院祝いはまだ早いか?」
マイク――コードネーム:スパイダー。タブレット片手にニヤついていた。
その背後に並ぶのは、武器運搬用のケースを引きずるケシー(ローズ)、白衣を脱ぎ捨てるように現れた鑑識官ザック(ベーカー)、そして――
病院の廊下で車椅子の老婆に扮していた謎の人物が立ち上がり、マスクを外す。
「久しぶりね、スネーク」
フォックス。性別も年齢もわからない。姿を変える達人。
「Zがまた動き出した。今度はニューヨークで爆破事件。市民ホールが吹き飛ばされた。遺体は3名、負傷者は22。Zの痕跡は、またしても“煙のよう”だった」
スパイダーは付近のカメラをハッキング。ローズは爆破現場から回収された金属片を確認。ベーカーは爆発物の成分を分析中。
「おかしい。爆薬はZがよく使うHMX系だが、起爆装置が市販品じゃない。しかも……」
スパイダーがスクリーンを指差す。
防犯カメラに、はっきりと“トム・カーティス”が映っていた。
「……いや、それは俺じゃない。こんな時間にここに来てない」
トムの顔が、こわばる。
その場に沈黙が落ちた――だがそれは序章にすぎなかった。
「もう一つ悪いニュースがある」
ローズが端末を見ながら言った。
「爆破現場の遺留品から、あんたの指紋が出たのよ」
その瞬間から、トムは容疑者となった。
ニューヨーク市警はFBIを通さず、直接トムの身柄を拘束しようと動き出す。
「Zが先回りして“証拠”を作った…」
「俺たちの中に情報が漏れてる。完全に罠だ」
スネークの指揮のもと、チームは地下の古いスチーム施設にアジトを移す。
身を隠しながら、Zを追う日々が始まった。
ある晩。
マンハッタンの裏通りで、スネークは奇妙な男に気づく。帽子を深くかぶり、目が合った瞬間に走り出した。
「逃げたぞ。おい、あれZの人間かもしれない!」
スネークはすぐにバイクに飛び乗った。フォックスが変装した通行人を装って道を開ける。
男は地下鉄の通路を抜け、表通りへ――だがそこに待っていたのは、NYPDのパトロールカーだった。
「トム・カーティス! 手を挙げろ!」
「クソッ、今じゃない!」
瞬間、バイクのハンドルを切って裏路地へ滑り込む。
警察車両がサイレンを鳴らして追いかけてくる。
ビルの間、ゴミの山、狭い通路をすり抜ける高難度のチェイスが始まる。
一方そのころ、スパイダーが車内のノートPCで警察サーバーをクラッキング中。
「あと30秒あれば、信号機を全部赤にできる…!」
「30秒もねぇ!」
スネークがバイクをドリフトさせ、工事現場の柵をなぎ倒す。
一瞬の隙を突いて、トムは地下駐車場へと逃げ込む。
タイヤの焼ける音だけが、静寂に残る。
その夜、彼らは新たなアジトへと移った。
スネークは、警察とZ――両方に追われる獣となった。
だが、決して諦めなかった。
仲間と共に、“真実”を追い続ける。