腹の虫
投稿するにあたって、ルビの振り方や行のあけ方などがまだ良くわかりません。それゆえに、少々読みづらいかと思います。こうしたほうが良いというアドバイスなどがありましたら、どんどんお申し付けください。
――チュンチュン
「……う~~ん」
オレこと、漁火漁夜の朝は早い。
ケイタイから聞こえるアラーム音によってスムーズに目を覚ますと、顔を洗って朝食の準備に取り掛かる。
「……姉貴のやつ、たまには自分で作りやがれっての」
これも居候の悲しい性である。
大根やニンジン、カボチャなどを手際よく切り、ものの数分で味噌汁を作る。それと同時に卵を溶いて下味をつける。今日のメインはオムレツだ。
オレがフライパンに油を引いていると、背後から人の気配がした。
「もうすぐ出来るから、顔洗って待ってて」
オレはそういって溶き卵を焼き始める。
「ふぁあ……」
眠たげなあくびが聞こえてくる。あー、オレだって本当は眠いんだぞと言いたくなるのを堪えながら、オレはフライパンを傾けてオムレツの象徴である半月形を作っていく。
「よっし!」
焼けたオムレツを皿に載せ、茶碗に味噌汁とご飯をよそって食卓に運ぶ。
「うわぁ、おいしそう!」
テーブルから黄色い声が飛んでくる。
「……え?」
黄色い声?
自体を認識したオレの動きが、ほんの一瞬ピタッととまる。
何故なら、いつもは「遅い! 眠くなっちまうだろうが!」と理不尽にも怒鳴られているのだ。それがなぜ黄色い声なんて……?
「? どうしたのですか? ご飯が冷めてしまいますよ?」
再び聞こえた声に、オレは恐る恐る視線をテーブルの方へと向ける。
「……な!」
そこに座っていたのは、昨日オレが連れ帰って姉貴に介抱されたあの少女だった!
昨晩、結局彼女は目を覚ますことは無く、それどころか気持ちよさそうに寝息を立てていたので、オレはそのまま寝かせておいてあげた。……のをすっかり忘れていた。
「あ、あの! わたし、お腹がペコペコで今にも倒れてしまいそうなんです!」
呆けたように立ち尽くすオレに、どうやら我慢の限界だったらしい女の子が真っ赤な顔で抗議した。それと同時に鳴った腹の音が、彼女の顔をよりいっそう赤く染め上げる。
「あ、ああ、そうだね……」
紳士なオレは腹の音なんか聞かなかったことにして朝食を運ぶ。
「じゃあ、食べるか!」
「うん!」
「「いただきまーす!」」
それからオレたちは黙々と朝食を食べ始めた。
目の前の少女は本当にお腹が空いていたらしく、がっつくように食べている。
……こいつ皿まで食うんじゃねえか?
「おかわり!」
そう言った少女の目は、餓えた獣のような目をしていた……。