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今日のテレビは何じゃろな

たいへん間が開きました。が、今回も短いです……。


「いいことリョウ! あの娘に手を出したらただじゃおかないからね!!」


「大丈夫だよかおちゃん。漁夜にそんな度胸は無いからさ。だろ?」


 玄関での別れ際、薫に釘を刺された挙げ句、浩二にそうフォローされた。……浩二よ、それはフォローしてるんだよな?


「そんな答えにくい質問こっちにふるんじゃねえよ」


「図星だー」


「図星だねー」


「あーもう! とっとと帰りやがれ!!」


 そんないつも通りのやり取りの末、ようやく二人を帰すことに成功したオレは、リビングに戻るなり力無く机に突っ伏した。あいつらといると本当に疲れる。


 ちなみにミカミはというと、少し前から食い入るようにテレビを見ていた。一体何の番組だろう。この時間はそんなに面白いのは無かったはずだけど。


「はぁ~。ま、いっか」


 だらけきっていると、廊下から姉貴の声が聞こえてきた。薫と浩二が帰り支度を始めたころ、明日の準備がどうのと言って自室へと戻っていったのだ。オレが心のそこから安堵したのは言うまでも無いだろう。


「漁夜ー。アタシ今夜はカレーが食べたいなー」


「へーい」


 本当は焼き魚にしようと思ってたんだけど、姉貴の気まぐれには慣れているから問題無い。てゆーかそれ以前に逆らえない。


 疲れた体に鞭打って立ち上がり台所へと進む。なんか、今日は飯作ってばっかだな。そのうち調理資格でも取ろうかと真剣に考えてしまう今日この頃であった。だが勘違いしてはいけない。オレは作るより食べるほうが好きなんだ。


「えーっと……」


 材料は昼に沢山買っておいたから充分にある。カレーをする分には問題ない。でも魚は早く食べたほうがいい。冷蔵庫の中身を確認して少し考えた結果、今夜はシーフードカレーにすることにした。


 オレも姉貴も好き嫌いは殆どしないのだ。


「さて、じゃあとっとと作りますか」


 てきぱきと材料を切り、鍋に入れて火にかける。今回は魚肉なので事前に炒める必要は無い。めんどくさいし。


 二十分後、一通りの工程を終えたオレはチラリとリビングを覗き見る。そこには先程とまったく変わらない姿勢でテレビを見続けるミカミの姿があった。


 もしかしてずっとあの姿勢のままなのか?


「なーに見てんの?」


 家出少女(ちょっと違うか)が何をそんなに食い入るようにして見ているのか気になったオレは、不自然に感じない程度に陽気な声で話しかけた後、ミカミの後ろからテレビをのぞき見た。


 ブラウン管……ではなく42型の液晶テレビに映っていたのは、この時間帯ではお馴染みのニュース番組だった。


 そしてその番組内で報道されていたのは……


「ひゃわっ」


 ミカミが何故か慌ててチャンネルを変えようとしたので、それよりも先にリモコンを奪ってやった。別に意地悪でやったんじゃないぞ?


「す、すいません……。人様のおうちで見るようなものではありませんよね……」


「別にいいんじゃないか? ニュースで何が報道されるかなんて基本分からないんだし」


 最近この近くで起こっている連続殺人事件の新たな犠牲者がでたというニュースを見ながら、オレはリモコンをミカミに手渡した。

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