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影の教室  作者: 蟾兎 燕
第二章 二年生編
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二十八話 封じられた場所

 勇人、亮太、葵、そして佐和子の四人は、旧校舎の奥にある開かれた扉の前に立っていた。そこからは冷たい風が漏れ出しており、内部には暗闇が広がっていた。


「ここに影の源が……?」


 勇人は不安げに呟いたが、誰もその答えを持っていなかった。ただ、葵が指し示したこの扉の向こうに、何か重要な手掛かりがあるのは間違いない。


「行こう。俺たちにはもう、後戻りする道はない」


 亮太が勇気を奮い起こして言い放つと、全員が頷いた。四人は意を決して扉の中へと足を踏み入れた。


 その先に広がっていたのは、今まで見たこともない光景だった。廊下は異様に長く、壁には見知らぬ文字やシンボルが刻まれていた。どこか異世界に迷い込んだような感覚が彼らを包み込んだ。


「ここは……なんだ?」


 佐和子が声を震わせながら言った。彼女の不安が他の三人にも伝わってくる。


「この場所自体が、影の一部なのかもしれない」


 葵はそう言って前に進んだ。彼女は以前、影に囚われていたことから、この空間に何かを感じ取っているようだった。



 廊下を進むうちに、四人は奥にある巨大な部屋へと辿り着いた。その部屋の中央には奇妙な台座が置かれており、その上には黒い石が鎮座していた。石には不気味な光が宿っており、微かに脈打っているかのように見えた。


「これは……影の源なのか?」


 亮太が慎重に近づきながら石を見つめた。その瞬間、石から低い唸り声のような音が響き、影のような黒い霧が台座の周りに立ち込めた。


「気をつけて!」


 葵が叫ぶと同時に、黒い霧が四人を包み込み始めた。彼らは反射的に後退し、霧の中から何かが現れるのを警戒した。


「この霧は……ただの影じゃない。これは、影の意思そのもの……」


 葵が言葉を絞り出すように呟いた。影はまるで生き物のように彼らの動きを監視しているようだった。


 その時、霧の中から人影が現れた。それは、かつて影に囚われた人々の姿をしていた。彼らは無表情のまま、ゆっくりと四人に向かって歩み寄ってくる。


「彼らも影に取り込まれたんだ……」


 勇人はその光景に息を呑んだ。かつては普通の学生だった彼らが、今や影の一部となり、何もかもを失っている。


「戦うしかない……」


 亮太は決意を固め、拳を握りしめた。しかし、彼らの攻撃を受け止めることはできるのだろうか? 相手はすでに人間ではないのだ。



 影に囚われた人々が次々と四人に向かってくる中、葵は何かを思い出そうとしていた。彼女の中には、かつて影の中で見た光景が断片的に残っていた。


「影は……誰かに操られている」


 葵が思い出したのは、影の中にいる謎の存在だった。その存在は、影の源となる石に何かを封じ込め、その力を操ろうとしていたのだ。


「誰かが影を作り出し、操っている……それが、この石の力を利用しているんだわ」


 葵はその事実に気づき、勇人たちに伝えた。影が自然に生まれたものではなく、誰かの手によって意図的に作られたということだった。


「じゃあ、その誰かを見つけ出して、止めなければならないんだな」


 勇人がそう言うと、亮太も同意した。


「影の意思が存在するということは、その意思を与えた者がいるはずだ。俺たちはその正体を突き止めて、影を根絶しなければならない」


 四人は再び影に囚われた人々を警戒しながら、部屋の中央にある石に目を向けた。その石こそが、影の秘密の鍵となるに違いない。



 影に囚われた人々との戦いが激化する中、葵は影の霧に巻かれながらも、必死に記憶を探り続けた。そして、ついに彼女はかつて影の中で見た光景の一部を完全に思い出した。


「この石は、影の力を封じるためのもの……本来なら、影を止めるための力が眠っているはずなの」


 その言葉に、勇人と亮太は驚きつつも希望を見出した。石が影の力を封じ込めるためのものであるならば、その力を使って影を根絶することができるかもしれない。


「でも、どうやってその力を解放するんだ?」


 佐和子が不安げに尋ねると、葵は目を閉じ、石に手をかざした。


「石には封じられた力がある……それを解放するためには、影の意思を打ち破らなければならない」


 葵の言葉に、四人は再び気を引き締めた。影との戦いはまだ終わっていない。むしろ、これからが本当の勝負なのだ。


「行こう。影の秘密を解き明かし、すべてを終わらせるために」


 勇人たちは決意を新たにし、影の源を探るべく再び動き始めた。影の意思を打ち破り、全ての謎を解明するための戦いが、今まさに始まろうとしていた。


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