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影の教室  作者: 蟾兎 燕
第二章 二年生編
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二十七話 少女の告白

 勇人と亮太は、新たに出会った少女の言葉に困惑しながらも、彼女の話を聞くことにした。少女の名は(あおい)。彼女は影の世界に囚われていたというが、その詳細はまだ語られていなかった。


 勇人は自宅に戻り、葵をリビングに招き入れる。亮太も近くの椅子に腰掛け、彼女の口から真実を聞き出そうとしていた。


「葵、君が言っていた『影に囚われていた』って、どういう意味なんだ?」


 勇人が尋ねると、葵は一瞬目を伏せた。彼女の表情には悲しみと恐怖が交錯していた。


「私は……影の中にいたの。あの場所は暗くて、冷たくて、ずっと何かに見られている気がした」


 葵はそう言って話を続けた。彼女が影に囚われたのは半年前のことで、突然学校で影に飲み込まれ、その後、現実と異なる世界に閉じ込められたという。


「そこには他にも、私と同じように影に囚われた人がいた。でも、彼らは徐々に影の一部になってしまったの」


 その言葉に、勇人と亮太は驚愕した。影に囚われた者たちが、最終的に影そのものになってしまうという現実が明らかになったのだ。


「それで、どうして君だけが逃げ出せたんだ?」


 亮太が問いかけると、葵は小さく首を振った。


「私が完全に逃げ出せたわけじゃない。あなたたちが核心を破壊したことで、影の力が一時的に弱まっただけ。でも、影はまだ私の中に残っているの……」


 その言葉に、勇人と亮太は再び沈黙した。影はまだ彼女の中で生きており、彼女自身も危険な状態にあるのだ。



「影は一体、何が目的なんだ?」


 勇人は改めて問いかけた。これまでの戦いで影の存在を感じてはいたが、その背後にある意図は掴めていなかった。


 葵はしばらく考え込んだ後、静かに語り始めた。


「影は……人々の心の闇を利用して、現実世界に影響を及ぼそうとしているの。影に囚われた人たちは、影の一部として使われる。そして影が広がることで、より多くの人が闇に飲み込まれていく……」


 その言葉に、勇人と亮太は恐ろしい現実を理解した。影はただの存在ではなく、人々の弱さや恐怖を糧にして増殖しているのだ。そして、その目的は現実世界を完全に飲み込むことかもしれない。


「じゃあ、俺たちが影と戦っている間にも、影は増殖し続けているってことか?」


 亮太が苦々しく呟く。葵は静かに頷いた。


「影は止めようとしても、完全に消すことはできないかもしれない。だけど、影の源を見つけ出せば、影の増殖を止めることはできるかもしれないわ」


 その言葉に、二人は新たな決意を胸に抱いた。影の源を見つけ出し、それを断ち切ることで、影の増殖を止める。それが彼らの次なる目標となった。



 翌日、勇人と亮太は葵を学校へ連れて行くことにした。葵は影に囚われた者として、彼らの戦いに協力できる存在だと感じたからだ。


 葵は校門をくぐると、微かに震えていた。彼女にとって、学校は影に囚われた場所であり、その記憶が彼女を苦しめていたのだ。


「大丈夫か、葵?」


 勇人が心配そうに声をかけると、葵は小さく微笑んで頷いた。


「大丈夫。今度こそ、影に負けないために来たんだから」


 葵の言葉には決意が込められていた。彼女もまた、影と戦う意志を持っているのだ。


 学校に入ると、勇人たちは佐和子と遭遇した。佐和子は勇人たちと葵の様子を見て、不思議そうな顔をしていた。


「葵って……誰?」


 佐和子が問いかけると、勇人は簡単に事情を説明した。


「影に囚われていた人だ。俺たちと同じように、影に立ち向かう仲間だよ」


 佐和子は驚きつつも、葵に対して親しげに挨拶をした。


「よろしくね、葵。私も影のことについては少し知ってるんだ。あなたと一緒に戦えることがあったら、協力するよ」


 葵はその言葉に微笑み、少しだけ緊張が和らいだようだった。



 その日の放課後、勇人、亮太、葵、そして佐和子は再び旧校舎に集まった。影の増殖を止めるために、まずは影の源を探し出す必要があった。


「影の源がどこにあるのか、手掛かりはないのか?」


 亮太が尋ねると、葵は少し考えた後、答えた。


「影の力が強く感じられる場所があるはず。そこが影の源に繋がる可能性が高いわ」


 彼女はそう言うと、旧校舎の中を歩き始めた。彼女の中にまだ残る影の気配が、影の源を感じ取っているかのようだった。


「ここから……さらに奥に何かがある」


 葵が指差した先には、古びた扉があった。その扉はこれまで開けることができなかった場所だが、葵が手をかざすと、不気味な音を立ててゆっくりと開いた。


「行こう。この先に影の秘密があるかもしれない」


 勇人、亮太、葵、佐和子の四人は、その扉の奥へと足を踏み入れた。影の源を見つけ出し、この戦いに決着をつけるために。

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