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影の教室  作者: 蟾兎 燕
第二章 二年生編
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二十五話 亮太の覚醒

 影の核心を打ち砕いたものの、勇人と亮太は校舎に漂う微かな不穏な空気を感じていた。影の脅威は完全に消滅していないことを、二人とも直感していた。


「亮太、本当に大丈夫か?」


 勇人は亮太の顔を心配そうに覗き込んだ。亮太は核心との戦いの後、体調が悪そうだったが、それを隠すように立ち上がった。


「大丈夫だ。だが、影はまだ消えていない。俺たちはもっと深く探る必要がある」


 亮太はそう言うと、ふと遠くを見つめた。彼の中には、戦いの中で覚醒しつつある「何か」が存在しているように感じられた。




「再び日常へ」


 二人は学校から一旦引き上げ、日常の高校生活に戻ることにした。影との戦いの余韻を感じつつも、彼らにはまだやるべきことがあった。勇人も亮太も、周囲の生徒たちには何事もなかったかのように振る舞った。


 教室では佐和子(さわこ)がいつものようにクラスメイトと話をしていたが、その目には何か違和感があった。勇人はその様子を見て、彼女もまた何かを感じ取っているのではないかと思った。


「佐和子、最近どうしてる?」


 勇人が声をかけると、佐和子は微笑みながら答えた。


「元気だよ。でも……何か、変な夢を見たりすることが増えてね」


 佐和子の言葉に、勇人は緊張を覚えた。彼女が影の影響を受けている可能性が高いと感じたが、それをどう伝えるべきか悩んだ。


「何かあったら、俺に言ってくれ。手助けできるかもしれないから」


 勇人の言葉に、佐和子は少し驚いたように頷いた。


「ありがとう、勇人。何かあったら話すよ」


 勇人は佐和子を見つめながら、彼女を守る決意を新たにした。彼女もまた、影との戦いに巻き込まれていることは間違いなかった。



 その夜、亮太は奇妙な夢を見た。彼は暗い闇の中に立っており、周囲には影が漂っていた。だが、その影たちは彼に敵意を向けることなく、彼の周囲を優しく包み込んでいた。


「これは……俺が影と繋がっている証拠なのか?」


 亮太は自分の中で芽生えた力に驚きつつも、それが恐ろしくも感じられた。影と共存することで、彼は新たな力を手に入れたが、それは同時に影の一部と化す危険性も孕んでいた。


「お前が必要だ……」


 遠くから囁き声が聞こえた。その声は影そのものから発せられているようだったが、亮太にはそれが何を意味するのかはっきりとは分からなかった。


 目を覚ました亮太は、夢の意味を考えながらベッドから起き上がった。彼は自分の中に眠る影の力を完全に掌握するため、もっと深く影の正体に迫る必要があると感じていた。



 翌日、勇人と亮太は再び旧校舎に足を運んだ。核心を打ち砕いたものの、影の残滓がまだこの場所に漂っていることを感じ取っていた。


「亮太、昨日の夜、何か変な夢を見たんだ。お前も何か感じてないか?」


 勇人は亮太に問いかけた。亮太は一瞬躊躇したが、正直に話すことにした。


「俺も夢を見た。影と……繋がっているような夢だ。俺が影に取り込まれそうになる感覚がした」


 その言葉に勇人は驚愕し、思わず亮太の腕を掴んだ。


「お前、影に支配されるんじゃないだろうな?」


 亮太は一瞬不安そうな表情を浮かべたが、すぐにそれを振り払った。


「分からない。だが、俺は影に飲み込まれないように戦うつもりだ。これ以上影に振り回されるわけにはいかない」


 勇人はその決意を感じ取り、彼を信じることにした。亮太が影とどう向き合うかが、これからの戦いに大きな影響を与えることは間違いなかった。



 二人は再び影の痕跡を追いながら、旧校舎の奥へと進んだ。核心を破壊したことで影の力は弱まったかに見えたが、何か別の存在が目覚めようとしている気配があった。


「これが最後の戦いになるかもしれない。俺たちがここで決着をつけないと、もっと多くの人が巻き込まれるかもしれない」


 勇人の言葉に、亮太も静かに頷いた。


「そうだな。俺たちが影に勝つためには、自分自身の弱さとも向き合う必要がある。俺はもう迷わない」


 亮太は自分の中にある影の力を感じながらも、それを制御することを決意した。彼が影を完全に掌握することができれば、この戦いに勝利するチャンスがあるはずだった。


「行こう、亮太。この戦いを終わらせよう」


 勇人は亮太と共に、最後の戦いに向けて再び足を踏み出した。影との決戦は、今や二人の命運をかけたものとなっていた。


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