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比較的最近更新した短編のまとめ場所

断罪されても虐めていても、何があっても悪役令嬢は笑い続けなければならない

作者: リィズ・ブランディシュカ



 その悪役令嬢は笑い続けている。


 何があっても笑い続けている。


 ずっとずっと、笑い続けている。


 大変なトラブルがあったときも。


 何もないときも。


 誰かが不幸になったときも。


 そうでないときも。


 どうしてそんなに笑い続けるのかと、周囲の人間はいつも不思議に思っていた。


 だから、興味の強い人間が彼女に聞いてみることにした。


 そしたら「笑わない私に価値はないからよ」と悪役令嬢は答えた。







 悪役令嬢は笑い続けないといけない。


 どうしたって、笑い続けていないといけない。


 余裕なところを見せ続けないといけない。


 虚勢でもはりつづけなければならない。


 悪役令嬢は自分が能無しだと知っている。


 けれども、家の名前は能無しであってはいけない。


 その有名な家に生まれた悪役令嬢は、生まれながらに大きなものを背負っている。


 皆から、家のために全てを捧げなさいと、子供の頃から言われていた。







 だから悪役令嬢は笑い続ける。


 嫉妬でヒロインを虐め、心の中で申し訳なく思っても。


 腹黒い者達と暗躍し、弱者を虐げることになって、心の中で涙を流しながらも。


 断罪され、人々になじられる事になっても、家の者から見放されたくはないのだと。







 けれど、そうして笑い続けた悪役令嬢の努力は実らなかった。


「こんなやっかいな娘、うちの子供でも何でもないわ」


 家の為に動いていた彼女は家から追い出され。


 家のために動きなさいと言っていた者達から、見放された。


 それでも悪役令嬢はやっぱり笑い続けた。


 そうする以外、感情を表明する方法が分からなくなっていたから。




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