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智慧の魔女の放浪譚〜活字らぶな黒髪少女は異世界でのんびり旅をする。精霊黒猫を添えて〜   作者: 嘉神かろ


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五の浪 学園都市ティールデン⑥

「ほっほ、結界の準備が出来ました。今いる魔導学の教師全員と、ワッシ、そしてアスト様で維持します故、存分に戦ってください」


 四方八方に人、人、人。老若男女問わない大観衆。

 彼らの見つめる先は、演習場の一角で対峙する私とウルを除く生徒たち。

 

 うん、どうしてこうなったのかしら。

 生徒をボコボコにする事になるからと思って、一応パースバル学園長に許可を取りに行ったらこれだ。


 偶々今日の魔導学の授業が一日の最後の授業だったせいもあって、余計に多い。もう授業が全て終わった生徒たちほぼ全員が見に来ている。自分の授業を休止して生徒を引き連れてまで駆けつけている先生も少なくない。魔導学の先生たちに関しては強制だけれど。

 ちょっと申し訳ない、と思っていたら彼らが一番ワクワクしていた。なんなのかしら、まったく。


 パースバル学園長も態々学園中に伝えなくたっていいのに。

 その彼の膝の上にはお菓子を頬張るアストの姿。演習場の端で一緒に日向ぼっこだって言っていた。……美味しそうね、あれ。あとで貰えないかしら?


 まあいいか。さっさと始めましょう。

 

「さ、どこからでもかかって来なさい」


 ウルを除く特別クラスの生徒たちへ向けて告げる。

 私の提案にあっさり乗ってきた感じ、自信があるのね。


「後悔しても、知らんぞ!」


 まず初撃は予想通りファーレイム。詠唱を紡ぎ、魔術ではなく魔導の炎球を具現化する。


「流石ファーレイム君だ。三節の詠唱でこれだけの威力を生むとは」


 嫌がらせしてくる先生の一人が何か言っている。嫌らしい笑み浮かべちゃって。


 なんて考えながら彼の半分ほどの大きさの火球を無詠唱で生み、発射。


「ふんっ、なんだあの平民の暖炉に灯っていそうな可愛らしい火は!」


 あの先生煩いわね?

 彼の想像は夢幻に終わって、私の火球がファーレイムの炎球を突き破る。そしてそのまま子どもたちの元へ――行ったらまずいから彼らの眼前で上へ方向転換。

 火球は結界にぶつかり、大爆発を起こした。


「信じられん。無詠唱であれほどの魔力をあんな緻密な術式に纏めるだなんて……」


 あれは私に好意的な魔導学の先生ね。


「くそ! なんでだ!」

「いいからどんどん来なさい。実戦で敵は待ってくれないわよ?」


「アクエラ! 隙を作ってくれ!」

「う、うん!」


 彼女が選んだのは水の鞭を生み出す魔導。それが四方八方から私に襲い掛かってくる。魔術じゃなくてちゃっかり魔導なあたり本当に優秀ね。


 普段なら全部躱しながら攻撃するんだけれど、今回は実力差を見せてプライドをへし折るのが目的なので、同じ魔導で迎撃しよう。


「こんな感じかしら?」

「えっ!?」


 ついでに術式の荒い個所を直して効率化してみた。他の子たちも分かったみたいで、驚いている。

 うん、ある程度優秀な方が色々理解してくれてやりやすいわね。


 アクエラの鞭を防いだ余りで子どもたちの足元を払う。これに対応するのは、ドリマ。得意の闇属性を使った減衰結界で鞭の勢いを削ぎ、槍で斬り払う。

 へぇ、なかなか槍の扱い上手いのね。


 じゃあ私も。


 魔力強化で一足飛びに距離を詰め、杖でドリマを突く。辛うじて反応して減衰しようとしたみたいだったけれど、光属性で打ち消しつつ彼に鈍化の魔導、呪いをかけた。


「ぐはぁ……!」

「ドリマ!?」


 ちゃんと衝撃が逃げるように吹き飛ばすよう突いたから、まあ大丈夫でしょう。めちゃくちゃ転がってるけど。


「くそ、よくも!」


 ファーレイムが剣に炎を纏い、切りかかってきた。まあこれは障壁で防いでいいかな。


 彼の力で私の障壁を抜ける筈もなく、甲高い音ばかりが響く。ムキになって何度も斬り付けてくるけれど、無駄ね。


 うん?

 転がってきた何かが魔力を励起させ、閃光を放つ。

 これは、メイケアが作った魔導爆弾かな。ファーレイムも巻き込みかねない位置だけど、なるほど、私の障壁の強度をみて問題ないって判断したのね。


 その判断は正解。だけど、だったら簡単に防がれるって考えなかったのかしら?

 障壁で爆弾を囲み、爆風を封じ込める。


「はぁ!? 早すぎでしょ!」


 悪態を吐きながらもどんどん爆弾を投げてくる。いいじゃない。

 今回は、そうね、全部ばらしましょう。部品単位で。


 土属性なんかを使って並列的に処理をし、全ての爆弾を解体する。

 唖然としているところ悪いけれど、まだ終わりじゃない。この玩具たちはちゃんと返してあげる。


 再び爆弾を組み立て、メイケアに向けて飛ばす。

 私と同じように解体しようとしているわね。


「よし、他も同じようにすりゃ――なんで全部構造が違うのよ!」


 残念、解体できたのは一つだけか。


「きゃぁっ!」


 あーあ、綺麗な紫ボブの髪が焦げちゃった。

 威力は抑えたからこの程度で済んだけれど、本当だったら今ので死んでいたわね。授業をちゃんと聞いていれば障壁の展開くらい間に合ったでしょうに。


「あ、う……」


 アクエラに怯えられている……。ちょっと凹む。


 はぁ、そろそろ終わりにしましょうか。

 派手目な魔導、そうね、雷でも落とそう。


 未だに頑張って剣を振るっていたファーレイムを蹴り飛ばし、一か所に纏める。

 それから、術式構築。瞬きをするよりも早く閃光が走り、爆音が鳴り響く。


 そして子どもたちの前には、ガラス化した地面。

 あら、腰が抜けちゃったみたい。


「どう? まだやる?」


 子どもを痛めつける趣味は無いし、さっさと諦めて欲しい。見た目高校生、実年齢中学生の子どもを虐めるなんて、完全に私が悪役の構図だし。


「……んでだよ」

「うん?」



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