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ロイグの一日

 目覚めたロイグの気分は不思議なものであった。何か夢を見ていたような気がするが、どうもハッキリとしない。

 いい一日を送るぞ、と決心させてくれるいい夢だったような気もすれば、マッチョの大男に詰め寄られる悪夢だったような気もする。


 だが、分かることがあった。

 ロイグの繰り返す一日は終わらなかったということだ。

 静かに寝床を抜け出して、ロイグは今日やるべきことを頭に思い描いた。

 今度こそは最高の一日にしよう。


 すぐに家を出て、ラウラとウジェの喧嘩を仲裁する。次に、ウジェにノーズの似顔絵を描いてもらう。前回は、散々ああでもないこうでもないとやり取りをしたので、今回は要点を明確に素早く伝えることができた。


「ロイグさん、似顔絵を描かせるのが上手いね。初めてだとなかなか上手くいかないんだけど」


「ウジェの腕がいいからじゃないか? この道でも食っていけそうだな」


 ロイグの言葉にウジェが少し目を見張った。


「ありがとう」


 似顔絵を受け取ってから、二人に手を振ってロイグは水路へと向かった。


 ウジェに聞いていた、彼が掃除をしたという場所はすぐに分かった。道から一段下がった水路に目をやると、水路の横の通路にゴミが積み上げられていたからだ。

 わざわざ水路を覗かなければ目に入らないので、これまでの繰り返しでも気がつかなかった。

 いつもは澱んでちょろちょろ流れているような水路であるが、今日は川のように水が流れている。

 ロイグは通路まで降りて、ウジェ達が片づけたであろうゴミを、再び水路へと放り込んだ。

 効果があるかは分からない。しかし、できることはやっておきたかった。

 水路沿いを進むと他にもゴミが積み上げられている場所があったので同じように水路に放り込んだ。


 ある程度のところで切り上げて、ロイグは警備兵の仕事へと向かった。

 途中でゼルに会う。


「よお、ロイグ。おはよーさん」


「ゼル。なんだか嬉しそうだな」


「そうなんだよ、聞いてくれ。実は、酒場の看板娘ちゃんがデートに付き合ってくれることになったんだよ」


「なにっ! 羨ましいやつめ。あ、しかしそういえば……」


「あん? なんだ?」


「看板娘ちゃんは、最近厄介なやつに付きまとわれてるって噂を聞いてな」


 ロイグはそう言ってから、まずったかと思った。今の発言だと、ゼルが厄介なやつだと言っているように聞こえたかもしれない。

 いま言ったことはでまかせであった。

 前回の一日で、ゼルに頼んだノーズの捕縛うまく行ったのかよく分からない。爆弾が爆発したが、ゼルがそれに関わっているかも分からない。

 なので、今回は万全を期することにした。


 前回は金でゼルに頼み事をした。それで手を抜いてはいないだろうが、油断はあったのだと思う。

 

「へーぇ。詳しい話を聞かせろよ」


 ゼルの目が座っていた。


 諸々説明をし、ウジェの描いた似顔絵を渡した後、二人は警備兵の仕事に向かった。ゼルは今にもノーズを探しに行きそうな気配であったが、ロイグがなんとか宥めて、数時間後に現れる場所を伝えた。

 それまでは稼ぎを得るために街の警備を行う。


 そろそろ交代の時間が近くなってきた頃、二人は決戦の場に向かった。

 途中でモンスターが侵入したと鐘が打ち鳴らされたが、二人は無視した。

 今回で最後だと決意を胸に、ロイグはゼルと別れた。


 前回とほとんど同じくらいの時間にロイグは酒場にたどり着いた。

 ナファートの娘が店へと入ってゆき、しばらくするとターナが現れる。


 ロイグはターナにぶつかって、ガリン火薬の爆弾と石ころをすり替える。今回は上手くいくか不安があったが、ロイグの技は冴えていた。

 この場でターナを取り押さえてしまうということも考えたが、ロイグの実力では抑え切れる自信がなかったのでやめておいた。


 ロイグは店の入り口に留まり、馬車がやってくるのを見届ける。

 ナファートが馬車から降りてきた。ターナがナファートへと近づく。


「ナファート様! ですよね? 娘さんが店の中で待ってますよ」


 ターナが話しかける前に、ロイグが声を張り上げた。これはちょっとした賭けだった。


「あまり大声を出すな」


 一応はお忍びなのだろう。咎めるようにナファートが睨んでくる。


 よし。ロイグの賭けは上手く行った。ナファートは、ロイグのことを酒場の用心棒の一人だと思ったことだろう。

 ペコペコ頭を下げるロイグをもうひと睨みして、ナファートは酒場へと向かってきた。

 馬車が去る。

 ターナの表情が歪んだ。

 ロイグは、ターナとナファートの間に割り込む。右腕に衝撃が走った。


「よし」


 ロイグは思わず笑ってしまった。また右腕だ。

 今日という一日は、どうしても俺の右腕を負傷させたいらしい。それを見越して、今回のロイグは籠手を着けていた。軽い革製の籠手ではあるが、ターナの刺突を防ぐには十分だった。

 ガリン火薬の爆弾をすり替える邪魔になるかと思ったが、軽い籠手を選んだので邪魔にはならなかった。


「モンスターだ! ナファート様を守れ!」


 騎士が叫ぶ。チラリと見ると、トカゲ男が四体水路から飛び上がって来たところだった。


「よし」


 朝から水路にゴミを放り投げて来た甲斐があった。これまでよりも、現れたトカゲ男が一体少ない。


 爆発も起きていない。ゼルが上手くやったのだろう。むしろ、ノーズを殺していないか心配になる。生かして捕らえろと念を押したので大丈夫だと思うが。


「ナファート様、店の中へ避難を!」


「う、うむ」


 ロイグが叫ぶと、ナファートはいそいそと店の中は入っていった。

 ターナに襲われかけたのも気がついていないだろう。

 ロイグは背中で貴族を隠しながら、ターナに話しかけた。


「ターナ、もう諦めろ。全て失敗したぞ」


「な、何を」


 動揺が表情に出過ぎている。やはりコイツに殺し屋なんて向いてねぇ。

 技術はあるかもしれないし、身体能力もそこそこあって、化粧で変装できるという特技もある。だが、それでもターナはこんな仕事に向いているとは思えなかった。


「望んでやってるわけじゃないんだろ。まだ間に合うぞ」


 別にいつだって遅いなんてことはない。いつだって間に合う。それがロイグの考えだ。


「黙って下さい……!」


 ナファートは店の中へ入ってしまった。今から追いかけて殺すのは難しいだろう。

 ターナは懐に手を入れて爆弾を取りだすが、それが石ころに変わっていることに気がついて愕然とした。


「諦めろ」


 ターナは、爆弾をすり替えたのは、目の前にいる男だと気がついた。ギリっと奥歯を噛み締める。


「ぐわっ!」


「モンスターが」


 騎士たちの悲鳴が聞こえた。

 おいおい、嘘だろ。マジで役にたたねぇなーあ。

 ロイグが見たのは、トカゲ男が一匹こちらへ向かってくる光景だった。一匹減らしても、対応しきれないとは……。鍛え直せと声を大にして言いたくなる。


「くそっ」


 トカゲ男は酒場へと向かってくる。その入り口の前には、ロイグと、さらにターナがいる。

 ロイグはターナを突き飛ばした。剣を抜き斬りかかるが、トカゲ男はあっさりとかわした。


「マジか」


 騎士のことを揶揄できない。ノーズが操っているのか、通常よりも強くなっている。


 トカゲ男がロイグに突っ込み、右腕に噛み付いた。


「ぬぐっ」


 籠手が牙を防ぐが、圧力は防げない。

 右腕の骨が折れるのが分かった。


「うおおおおお!」


 振り払えない。


「結局こうなんのか!」


 ロイグは噛みつかれたまま、トカゲ男を抱え上げた。

 水路に向かって走る。前回よりも傷が少ない分走るのは楽だった。ただ、ガリン火薬の爆弾へと衝撃を与えないように注意を払う。

 あと少しで水路だ。このまま飛び込めば、前回と同じ結果にはなる。

 意識が逸れたからか。油断したからか。ロイグの足が滑り、つんのめった。トカゲ男を地面に叩きつけるようにしたので爆弾を衝撃から守ることができたが、折れた右腕に激痛が走った。


「があああっ」


 今回も全然上手くいかねぇな。頭の片隅にそんな考えがよぎったが、痛みが全てを押し流してしまう。

 爆弾のこともトカゲ男のことも、ロイグの意識から消え去る。

 トカゲ男は多少ダメージを受けたようだが、まだ健在であった。拘束から抜け出し、痛みに悶えるロイグの頭に噛みつこうと大口を開けた。


「あー、もう!」

 

 トカゲ男の頭にナイフが飛んだ。ターナの投げたものだ。浅く刺さってトカゲ男がひるむ。

 ターナはその隙に近づいて、体重を乗せた拳を叩き込む。トカゲ男が飛ばされて、水路に落ちた。


「や、やるな」


 ようやく痛みが薄らいできたロイグは、目を丸くしてターナを見つめるしかなかった。

 薄々思ってはいたが、ターナはロイグよりだいぶ強い。


「おい、騎士さんよ! トカゲ男を水路に放り込め!」


 苦戦をしていた騎士は、ロイグの言葉に従ってトカゲ男三体を水路へと落とす。モンスターの動きが素早く騎士たちは防戦一方ではあったが、怪我を恐れず組み付いてしまえば、トカゲ男はそう重くないので水路に投げ込めた。


「コイツで終わりだ!」


 懐から爆弾を取り出して投げようとしたが、左腕は利き腕ではないので狙い通りに投げられるか自信がなく、一瞬躊躇ってしまった。

 水の中に投げられればいいが、失敗すればこの辺り一帯が吹き飛んでしまう。


「借りますよ」


「あっ」


 ロイグの手から爆弾が消え、水路へと吸い込まれていった。ターナがロイグから爆弾を取り返して、投げたのだ。

 しまった。

 水中以外でガリン火薬の爆弾が爆発すれば、この辺一帯が吹き飛ぶ。ナファートが逃げ込んだ酒場も、隊長が奢ってくれる(一杯だけ)酒場も、残らずに吹き飛ぶ。ターナは自分の命を捨てて仕事を果たせる。


「ふせろ!」


 無駄だとは思っても叫ばずにはいられない。

 直後、轟音が響き渡った。


 ……しばらくして、ロイグはノソノソと動きだした。土と水と瓦礫を浴びてひどい格好になっていたが、まだ生きていた。

 水路の周辺は形を変えていたが、騎士も酒場も無事なようだった。


「無事、か?」

 

 轟音で耳もやられていたが、徐々に回復する。


「おーい。ロイグ。なんだ今の音」


 微かにゼルの声が聞こえた。

 のんびりと歩いてくるゼルは、小脇にぐったりとしたノーズを抱えていた。


「ゼル、やってくれたか!」


「おう、これで看板娘ちゃんも安心だろ!」


 状況を飲み込めていない騎士たちだが、酒場からナファートが出てきたので、護衛のために集まっていった。

 ロイグは、気絶したノーズを引きずって、騎士の前に差し出した。

 何かを問われる前に口を開く。


「コイツはノーズっていう殺し屋です。どうやら、ナファート様を殺そうと企んでいたみたいです。トカゲ男が侵入してきたのも全てコイツの仕業です」


 しどろもどろに説明をするが、視線が集中してロイグの額から汗が吹き出した。


「俺はロイグっていう警備兵で、たまたまコイツの企みを知って、警備兵の仲間と阻止しようとしたわけです」


 ロイグは警備兵の仲間というところでゼルとターナを示した。全ての罪をノーズに押しつけて、ターナのやったことをうやむやにするつもりだった。


「私は――」


「俺が説明するから、な?」


 強引にターナを黙らせて、ロイグはまくしたてた。

 とにかくノーズが悪く、自分達三人はその企みを阻止したという主張を曲げずに。


 ロイグが警備兵の隊章を見せて身分を証明したおかげで、話はなんとかまとまった。ターナは不審げではあったが黙っていた。


 ロイグは感謝の言葉や褒美の話も早々に辞退して、ゼルとターナを連れて逃げるようにその場を去った。というか、逃げた。ノーズはしっかり騎士たちに拘束されていた。調べれば、証拠は色々と出るはずだ。


 三人でいつかウジェと飲んだ酒場に入り、ようやく一息ついた。

 その後はゼルとターナの質問攻めにあったが、ロイグは一日を繰り返しているということは黙って、あとは適当に答えた。

 酒を飲み始めると質問の手は緩んでゆき、なんだかんだ三人で楽しく飲んだ。


「あなたが誰で、私をなんで知っているのかは結局分からないんですが」


「お前、街外れにある孤児院の出身だろ? 俺はそこの大先輩なんだよ」


 ロイグが育った、決して治安が良いとは言えない地区にあるその孤児院は、使()()()子供を裏社会の組織に売っている。もちろん褒められた行為ではないが、その金で孤児院が運営され、売られた子供も褒められた手段ではないが生きる術を教え込まれる。ロイグはかつて、裏の組織に買われ、スリの技術を学び、それで生活していた。

 結局は足を洗って警備兵として真っ当に生きていくことにしたが、孤児院と裏の組織がなければどこかの路地裏でのたれ死んでいたと思う。

 感謝はしていないが、頭から否定する気にはなれない。


 ターナがそこの出身だということは当てずっぽうではあったが、当たっていたようだ。


「なるほど、そうなんですか」


「なぁロイグ、もう一杯飲んでいいか?」


「おう、ゼル。飲め」


 ゼルには道すがら、看板娘につきまとっている男などいないと説明した。納得したのか分からなかったが、看板娘にゼルの活躍を伝えると言ったら、「ならいいか。よろしく頼むぜ」と笑顔になった。

 細かい話はあまり気にならないらしい。ありがたいと同時に心配になる。


「……助けてもらったんですよね。ありがとうございました」


「気にすんなよ。俺も助けられた口だ」


 かつて、スリとして暮らしていたロイグは、ある男の財布をすろうとして失敗した。死を覚悟したロイグだったが、その男はロイグを兵士に突き出さず、むしろ警備兵に勧誘した。男は警備兵だった。

 ロイグはスリから足を洗う決心をして、警備兵になることに決めた。

 過去の犯罪歴などからロイグは採用されるか不安だったが、警備兵は常に人手が足りていないので、トントン拍子にことが運び、ロイグは警備兵として生きていくことになった。

 初めて仕事をして金をもらった日、ロイグは涙を流してしまった。それが、初めて人から奪わずに手に入れた金だからである。

 最低限の稼ぎでその日暮らしをする生活に慣れすぎて、いつしか男のことも、初めて仕事をこなした日のことも忘ていたが、この一日の繰り返しの中で思い出が蘇っていた。

 ターナの素性に思い至った時、最初にあの警備兵の男を思い出したのだ。

 警備兵になったのはただのきっかけだった。そこから、もっと登っていくこともできたはずだった。実際、警備兵から騎士になる者も少なからずいる。

 だが、ロイグはその道を選ばなかった。最初の感動はいつしか消え去り、怠惰に退屈な日々を過ごす生き方を選択した。


 今にして思えば。ロイグを助けた警備兵の男も、今のロイグと同じような状況だったのではないだろうか。

 何かを変えるために、少年だったロイグを救ったのではないだろうか。

 その後男がどうなったのか、ロイグは知らない。三十年以上も前のことだ。思い出す顔も(おぼろ)げだった。


「ただ、自分と重ね合わせただけだよ、ターナを助けたのは気まぐれだ」


「そうですか」


 ロイグは滔々と真っ当に生きることの大切さを語った。

 それに対してターナが何を思ったか、ロイグには分からない。

 響いたのか、酔っ払った年寄りの戯言と思ったのか、ロイグには分からない。


「そういや、トカゲ男から俺を助けてくれたのはどうしてだ?」


 ロイグの問いかけに、ターナは顔をしかめた。


「なんでなんでしょう。あなたと初めて会うような気がしなかったのと、なんでか助けた方がいいような気がしたんですよ。神様からの声が聞こえたのかもしれないですね」


 これまでのロイグなら笑い飛ばしてしまうような言葉だが、今回のターナの言葉はなぜかすんなりと受け入れられた。

 そうか、神様のおかげか。

 ありがとうザリーズ様……と思った時に何故か寒気がしたので、それ以上深く考えるのを止めておいた。


 孤児院から売られた裏の組織で、ターナはいくつか裏の技術を教え込まれた。暗殺術、変装術、スリ。そこそこ優秀な生徒だったターナは、高値をつけられてさらに殺し屋のノーズに売られた。

 ノーズは極力自分の手を汚さない、クズ野郎にしてクズの殺し屋だった。ターナはノーズの手下になって、いずれ使い潰される未来しかなかった。

 最初の仕事で、ターナは貴族を殺す役割を与えられた。失敗すれば死。成功しても殺される可能性が高い。それでも、ターナにはそれ以外の選択肢はなかった。

 それを、なぜか身体を張って防いだのがロイグであった。

 ノーズは死刑になるだろうとロイグは話していて、ターナもそう思う。貴族の命を狙うということはそういうことだ。

 少し歯車が違っていたら、捕まっていたのはターナだったかもしれない。

 ターナはナファートにナイフで襲いかかったが、その場面を見ていたのはロイグしかいない。

 だから、ターナがナファートを狙っていたことはロイグとノーズしか知らない。

 ロイグは、身を挺して自分を助けてくれたのだ。

 こうして酒盛りをしているのは奇跡のような状況だ。

 ロイグという冴えない男に、大きな借りができてしまった。


「酒飲んだら傷んできたな……」


「応急処置だから、明日には病院行けよ」


 そんな会話をする男二人を見て、ターナは「いやいや、さっさと病院行ったほうが……」と思っていた。



 ロイグは久々に美味い酒が飲めた。酒宴を解散したのち、ロイグは夜風を浴びながら一人歩いている。

 ターナには、明日警備兵の詰所に来るよう言ってある。

 フラフラと歩きながら、何かがおかしいと気がついた。

 吊った右腕は使えないので、左手で懐をまさぐる。


「財布が、ねぇな……」


 ターナにすられたか。即座にそう思い至った。

 結局、ロイグのしたことは自己満足でターナには響かなかったのだろうか。


「……ぶはははは!」


 ()()()今日は、紆余曲折があったとはいえ、ロイグの望むような一日になった。ラウラとウジェは無事に仲直りをし、ナファートを守りノーズを捕らえた。そして、ターナは無事だった。


 明日、ターナは警備兵の詰所に来ないだろう。なんとなくだが、ロイグはそう思った。まぁ、いいさ。

 ターナはターナの人生を生きるのだ。ああしろこうしろと、ロイグが口を挟む筋合いなどない。


 ロイグは今回の今日に満足していた。

 そしてこの繰り返しの日々は、今回で終わるだろうと確信を抱いた。

次回、最終話

『ロイグの新たな一日』

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