9話
「成長期にゃ?」
突如大きくなる身体、飛んでいないのに視界も随分と広くなったものだ
人間みたいに二足歩行もしやすくなって本当にネコじゃなくなったんだと実感する
餌をねだったり、人間の膝の上で横になるにはちょっと辛そうだ
【トゥラヴェルト言語Lvーを習得しました】
【斬属性攻撃Lv5を習得しました】
せっかく亀も動かなくなったことだし、魚を食べたいと思ったのにどっか行っちゃったみたいだ
じっとしてたら戻ってくるかなぁ…
ポカポカ陽気でじっとしていると眠気が襲ってくる
僕はいつのまにか湖のほとりでウツラウツラ…
気付いた時には魚もいっぱい泳いでて、石になった亀もいなくなってた
あまり見たことないけど多分兎だと思う動物もいて気持ち良さそうに寝ていた
「気持ちよかったにゃ♪」
んー…と伸びをすると、再び魚が逃げてしまって結局捕まえられなかった
「まぁいいにゃ、別のところにいくにゃ」
自分の力のことなんてすっかり忘れて森を上空から見下ろしていて
遠くに建物が見えるから気になってしまう
自分がおっきくなったからか、高く飛ぶのもそんなに怖くなかったんだ
「にゃ!人間いっぱいいそうにゃ!」
フヨフヨ飛んでると道中おっきな鳥もいっぱい
襲いかかられても迎撃できるだろうなんて考えていたから無防備だった
「び…びっくりしたにゃ?!」
風や土を扱えるのは僕だけじゃなかった
鳥が羽ばたいたら突然竜巻が襲ってきて巻き込まれたんだ
なんとか抜け出すことはできたけど、全身傷だらけでヒリヒリしちゃう
怒ったからもう許さない
「いきなり酷いにゃ!」
カマイタチが鳥に襲いかかる
ネコパンチじゃどの技も同じ名前になってしまうから風はカマイタチ
土はー…なんでもいいや
何発も何発も、避けられないくらいあちこちに飛ばしまくったから下にいた動物にも当たっちゃったみたいで鳴き声が聞こえた
「やったかにゃ?」
鳥は羽で防いでいたのだけど、どんどん高度を下げてって落ちた
落ちても僕は手を止めずに徹底的に攻撃してた
殺されかけたんだもの、起き上がってこられたら困るから
もうカマイタチも出なくなって、僕も下に降りたら
鳥はしぶとくピクピクしている
爪でしっかり首元掻っ捌いてやった
「死ねにゃ」
【《種族名ベルティケット》はLv2に上がった】
【《種族名ベルティケット》はLv3に上がった】
【《種族名ベルティケット》はLv4に上がった】
ちょっと自分でもダークに落ちてるなって思っちゃったけど、この世界に生まれてきて普通に命が狙われて続けているのだから仕方がない
殺される前に殺さなきゃダメみたいだ
動かなくなった鳥は美味しかった
すごく身がしっかりしていて余分な脂もない
濃厚な血の味も感じるのだけど、今の僕にはそれが大変美味に思えたのだ
「満たされないにゃ!」
近くにいた動物を見ると、先ほどまで名前も分からなかった動物の名前が見える
しかも文字が読めているのだ
【魔物鑑定Lv1を習得しました】
名前とレベルがわかる、それがどういうことなのかも今のミケには理解ができたのだった
《グルーボアLv6》
「ミケよりレベル高いにゃ…」
文字が読めるのはビックリしたのだけど、役に立つなら深く考える必要もない
おそらくそういう種族になったのだと、勝手に理解したことにしておいたのだった