8話
街から離れた森には不思議な生き物が多い
ご主人様と暮らしていた時は小さい動物かカラスや鳶くらいしか見たこと無かったのに
「でっかいにゃー」
3mはあろうかという亀が
魚は僕より大きいのがあちこちに
森の中で見つけた湖にはそんな大きな生き物がいっぱいいたのだった
「魚食べたいにゃ…」
近づくと逆に食べられそうで悩んでしまう
すると突然後ろから冷たい感触が
「ひにゃっ?!」
振り返ると舌の長いカエルがジッとこちらを見ていた
「…食べられたいにゃ?」
首を傾げたようにカエルはただじっとこちらを見続けていた
それが面白くミケもまたじっとカエルに睨みつける
なにがしたいのだろうか、僕のことが怖くはないのだろうか?
しばらくそうやっていると、まるで脚の感覚が無くなっていくような感じがして
いつのまにか動こうとしても動けなくなっていたのだった
「なんにゃ?!脚が重いにゃ!」
下を見ると脚が灰色になっている
それはまるで周りに落ちている石ころのような
「図ったにゃ?!」
カエルの眼光は相変わらず鋭くこちらに向かう
これは間違いなく攻撃であった
そうと分かればこちらも容赦はしない
「土よ出ろにゃ!」
別に手を振る必要もない、ただ出そうと思えば目の前にそれが出現する
僕はこれを狩技と呼んでいるのだ
土塊がカエルを貫くと、固まっていた脚も少しづつ動くようになっていった
せっかく餌の方から近づいてきたのだから食べないはずもない
「ご馳走ゲットにゃ♪」
寄生虫の可能性なんて気にしたことも無い
僕はカエルをペロリと平らげていた
「なかなかイケるにゃ」
【石化攻撃Lv1を習得しました】
【《種族名ケットシー》はLv8に上がりました】
石になっちゃいそうな攻撃もあるんだ、なんて思って自分にもできるか試してみる
「亀さんゴメンにゃ」
目標を亀に定めると、強く睨みつけて石になれと願う
徐々に動きが遅くなり
いや、そもそも遅いのであまり変わらないのだけれど
【石化攻撃がLv2に上がりました】
なかなか固まらないけれど手応えはある気がしてやめられない
【石化攻撃がLv3に上がりました】
徐々に色も変わっていって成功したような感じがする
【石化攻撃がLv4に上がりました】
「完全に石になったにゃ…」
そして気付く
「これじゃ食べられないにゃ?!」
亀も美味しそうだった
いくらカエルでお腹が満たされていてもミケは亀を食べる気も満々だったのである
【《種族名ケットシー》はLv9に上がりました】
【《種族名ケットシー》はLv10に上がりました】
【進化を行います】
きっと強制的に進化しなければミケはずっとこのままの姿
だけどLvが上がって突如起こったそれは、ミケにこの先大きな変化を齎したのだった