3話
「街にゃ、人間いっぱいにゃ」
僕はミケ、こうやって散歩しているとよく撫でられたりエサをくれたりしていたただの三毛猫
だったんだけど…
「にゃっ?!やめるにゃ!」
街でお散歩してたら突然石を投げつけられた
「なんでにゃ?!僕なにか悪いことしたかにゃ…?」
街の外まで追いかけてきて、キラキラした頑丈そうな服の人に脚を斬られたんだ
ようやく逃げて来たかと思っていたら、別の人がまた追いかけて来て
「なんでにゃぁ…嫌にゃ、死にたくないにゃ…」
目の前まで来て、木の棒を振りかざしたんだ
殴られると思ってた、喋ってる言葉もよくわからないし
泣いていたと思う
さっきまで木の棒をを振りかざしていた女の子が、僕を抱きかかえてくれて
やっと少し安心できたんだ
「助けて…くれたにゃ…?」
斬られた脚も少し楽になった
女の子に抱かれていたら不思議な気持ちになれるのだった
「もう街には近寄りたくないにゃぁ…」
だけど女の子は街に入っていったのだ
もちろんさっき痛いことをしてくれたキラキラの人もこっちを睨んでる
何か言い合ってるけど、知らない言葉で話すのはやめてほしい
「うるさいにゃ!」
一鳴きしたら少し静かになってくれた
やっぱり頭を撫でられるのが気持ちいいや
時折女の子の口から『ケルン』『ケルン』って聞こえるんだけど、きっと僕に名前をつけてくれたのかなぁ
「ぼくは…ミケにゃ!」
また頭を撫でられた
勘違いされたみたいだけど、お魚もくれたししばらくここでゆっくりしても良いかもしれないなぁ
「美味いにゃ♪」
【水中移動Lv1を習得しました】
「だからなんなのにゃ!!」
水中くらいミケでも移動できますよっ
そんな事ばっかり言ってミケのこと馬鹿にしてるんじゃないか?
あ、女の子が戻って来た
大きなタオルを持って…
「そ、それはさっきやったにゃ?!洗わなくていいにゃ!」
たっぷりの水の張った桶に突っ込まれた
頑張って逃げようとしたけど全然逃してくれなかった
「水中移動なんて嘘にゃ!そんなの習得してたら逃げられるはずにゃ!」
その時急に身体が軽くなって、僕は近くの木の上まで飛んでいたんだ
「にゃ?!移動…できたにゃ?」
【水中移動がLv2に上がりました】
「れべるって何にゃ!うるさいにゃ!」
もう全身びしょ濡れで嫌な気持ちだ
せっかく魚をくれた女の子だけど嫌な事をされるのはたまったもんじゃない
「さいにゃら!」
そのまま地上には降りず、空に逃げることにした
女の子も悲しそうな顔をしていたけど、僕は自由の方が好きだ
ご主人様みたいに僕が構ってほしい時だけ構ってくれる方がいい
空に逃げたらまた大きな鳥だ
「もう…イライラするにゃ!」
手を大きく振り回すと、思い通りの空気の刃が飛んでいく
きっと僕の実力だ
「喰らえにゃ!」
「グォォォ…ンン…」
ふらふら飛んで落ちてった
「やったにゃ!」
落ちた鳥はさっきの女の子の近くに落ちて、キラキラした人も集まって来た
「知らないにゃ、ミケは関係ないにゃー」
でもご飯は大事、どうしようかなぁ
ふらふら飛んでたんだけど、ちょっと大きな洞窟があって人間が入っていったからこっそり後をつけてみた
「なんにゃ?ネズミもモグラもいっぱいにゃ?!」
人間がネズミと戦っている
モグラは土に隠れちゃったなぁ
「横取りしたいにゃぁ…」
しかし大きいネズミだ、あんなの見たことない
「ファイア!」
「なんにゃ?!」
急に人間が手のひらから火を出した?!
ライター?チャッカボウ?
いや絶対何も持ってなかった
「なんなのにゃ…いったい」
ネズミも丸焼けになって人間たちはもっと奥に向かっていった
「やった、儲けたにゃ!」
人間が置いていったネズミは美味しかった
大きいだけでなく身質も柔らかでもっと食べたくなる
「はぁ〜…ご馳走さまにゃぁ…」
全身を電気が走ったような衝撃的な美味さだった
あまりの美味しさにしばらく動けずにいたんだ
【毒耐性Lv1を習得しました】
【麻痺耐性Lv1を習得しました】
なんだか分からないけれど、きっと強くなったって事だな
ちょうどモグラも顔を出したもんだから僕のネコパンチ(真空波)で倒してやった
「お腹いっぱいにゃ♪」
【《種族名ケットシー》はLv2に上がりました】
【隠蔽Lv1を習得しました】
【アースショットLv1を習得しました】
【風属性攻撃がLv6に上がりました】
「にゃんだか、いっぱい強くなったにゃ!」
よくわからない言葉がいっぱい聞こえるから、それだけ強くなったんだと勝手に納得していた
「あの人間達に着いていけば、きっとまた美味しいにゃ♪」
食べきれなかったら明日の分でいい
今のうちに狩りためておこう
「にゃっ♪にゃにゃぁ〜♪」
僕は、どんどん奥へと進んで行く