2話
「ずいぶん眠ったにゃ…」
木の上で目を覚ますと、もうずいぶんと明るく日も真上に登っていたんだ
「身体もベタベタにゃ…」
昨日は小さな洞穴や木々をかき分けて歩いていたもんだから、明るいところではそれがよくわかる
土か泥か…とにかく僕は汚れた身体を綺麗にしようと思って歩いていたんだ
「にゃぁ…」
見たことのないほどに広がる森と、奥には平原が
上を見ればカラスなんかより全然大きな鳥も飛んでいる
「どこにゃ?ここ…」
近所の公園にも、裏山でもこんな場所は知らない
どこか他で知っている場所がないかを探したいのだけど、どこへ向かって良いのかもわからない
あ、そういえば僕飛べるようになったんだ
後ろを見るとやっぱり小さな羽が付いている
こんな羽をもった猫なんて見たことないのだけど、僕はもしかしたら特別なんだと思ってしまった
空に昇っていくと、やっぱり怖い
「にゃぁぁぁ…」
色んな景色が広がっていて、見慣れない街も見える
「大きなビルが無いにゃんて、きっとド田舎にゃ…」
そんな景色を見ていたら、湖が近くに見えたものだから喜んでしまう
「にゃ!天の恵みにゃ!」
身体を洗える、それだけで気持ちが昂ぶっていた
「にゃ、にゃ、にゃぁ〜♪」
普段は嫌いな水浴びだけど、こんな時に入ると気持ちのいいものだ
襲われなければ、だけど
「痛いにゃぁああ!!」
突然後ろ足に走る激痛
陸に上がるとミケの倍はあろう魚が喰らいついている
「にゃっ?!獰猛にゃ!死ねにゃ!」
うっかり口調が荒くなってしまうが仕方がない
普段殺生など滅多にしないが攻撃されるのは嫌いだ
「やっと大人しくなったかにゃ!」
ピクピクしていた魚は、ついに尾ひれも動かなくなる
「噛みついたまま死ぬとか、尊敬するにゃ…」
でもまぁ、おかげで朝食にもありつけた
大好物のお魚だ、毒は無いと信じたい
「いっただきまーす、にゃ♪」
美味い、淡白ながらも後を引く味わいである
脂の乗った魚が美味いとかご主人様は言っていたけれどミケ的にはこっちの方が好み!
【水魔法Lv1を習得しました】
なんにゃ一体、ミケの食事を邪魔するにゃよ
「誰もいないにゃ?」
きっと疲れているんだろう
もう一度顔を洗って出かけるとしよう
「にゃ…にゃ?!誰にゃ?!」
水面に映る見知らぬ姿
ちょっと自分よりスリムな感じでシュッとして、毛もこんなに長くなかったはずだし
耳がとっても長い…
「これ…ミケにゃ…?」
もしかして生まれ変わった?
でも僕はミケの記憶を持ってる
「改造されたにゃ?」
そんなわけは無いだろう…
まぁ信じられない事なんだけど、とにかくここにいても仕方がない
「気を取り直して出発にゃー!」
とにかく街を目指してみるのだった
「怖いから低空飛行にゃ♪」