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1話《ミケ猫転生》

「隠しスキルを手に入れた俺のうぬ惚れ人生」はこちら

https://ncode.syosetu.com/n1436fa/

「意外と前世の記憶って残っているものなんだにゃ…」


僕の名はミケ

外国人かって?そういうわけじゃない、ご主人様がそう付けてくれたんだ


斎藤家で五年くらい一緒に暮らしていたんだけど、ある日家の前でトラックに轢かれちゃってさ


薄れゆく意識の中でご主人様の悲しそうな顔が目に焼き付いちゃって

悪いことしちゃったなぁ…なんて思う


で、気付いたら真っ暗闇

手も動くから生きているみたいなんだけど、こんな場所知らないし土にでも埋められちゃったのかと思うくらいだ


「病院かにゃあ…?」

もしそうなら、時々連れてこられて注射を打たれるから大っ嫌い

なんでこんなところに連れて来たんだとご主人様を恨んだりしたっけなぁ…


でも随分狭い場所だ

なんだかまん丸ケージにでも入れられてるみたいだ


そういえば僕は車にはねられたんだっけ

「全然痛くにゃい…」

轢かれて血がいっぱい出たはずなんだけど

夢か幻か?

だったらこんなところにいないでお家に帰らせて欲しい


ケージを右手でバンバン叩く

「おーい、もう大丈夫にゃ出すにゃ!」


『パリッ』


「ん?ケージ壊れたにゃ?」

まずったなぁ、治療費だけじゃなくてケージ代まで請求されたらご主人様泣いちゃうよ


「そーっと叩くにゃ…」

『ペキッ、カツンッ』

穴が空いちゃった、まぁしょうがない…


「おーい、誰かいにゃいのかー?」

全くもって静かだ、隙間からうっすら見える風景に人間はいないようだし


ケージはどんどん壊れちゃうし、仕方ないから逃げちゃおうかな…


『ひょこっ!』っと顔を出すと、綺麗なまんまるお月様

「綺麗だにゃぁ」


見ているとまるで吸い寄せられるようである


「グルルルル、ガウッ!」

「にゃ?!犬がいるのかにゃ!誰にゃ、ポチかにゃ?チロルかにゃ?!」


犬は怖い、なんども吠えられた

となりの家のポチも、神社の近くに住んでいるチロルも大嫌い

僕の何が気に入らないのかわからないけど、仲良くしたくてもいつも吠えてくる


しかもそれが、周りを見たら10匹はいるのだ

「にゃ?!来るんじゃにゃい!あっち行けにゃ!」

手をブンブン振り回す、でも逃げてくれないのはわかってるんだ

僕はそんなに強くないのだから


「あっち行けってば…にゃー!」

『ブン!』という風を切る音と共に


『ザシュッ!』「キャウン…キャンキャン!」と聞こえてくる


「にゃあ…?」

いっぱいの犬はどっかいってしまった

もしかしたらパンチが当たったんだな、ラッキーだったと思う


手にそんな感覚は無かったのだけど、いなくなってくれたのなら幸いである


「しかし…お腹がすくにゃあ…」

ずっとケージに入れられていたみたいだし、どれほど食べていないのだろう…もう空腹で倒れちゃいそう


バッタでもカエルでもいいから食べたいや

そう思ってちっちゃい生き物を探していたのにさぁ


「なんでまた天敵が来るかにゃぁ…」

黒っぽい鳥が空から僕のことを狙ってるし

お腹も空いてて目眩がしそうだ


「もう!自分ばっかり飛んでてズルイにゃ!僕だって飛べたら負けないにゃ!」

そう言って手をバタバタして羽をばたつかせる素振りをしてた


「にゃ?」

なんか足が地面から離れていく感じがする

誰か僕の事を捕まえてるの?


『パタパタ…』

くるりと後ろを振り返ると、僕の背中に小さな羽が生えていた

「なんにゃこれ?」

自分の意思で動かせる羽でどんどん空に昇っていってしまう


「にゃ?!高すぎにゃ!怖いにゃ!」

ブロック塀の上でもこんなに高くない

しかも前には黒い鳥もいる


「ピューイィィィ!」

鳥が急降下して襲ってくるもんだから、僕はびっくりしながら再び手をばたつかせる


「まじでやめるにゃ!死んじゃうにゃ!」

ブンブン振った手から風が形になって飛んでいった

それが鳥に当たって鳴き声と共に墜落していったのだ


「にゃ…んだかわからないけど、ごめんにゃ殺す気は無かったにゃ…」

墜落した鳥は絶命しており、お腹も空いていたこともあって


僕は命を大事に、食べることにしたのだ


「美味しいにゃ…」

【強襲Lv1を習得しました】


なんだかよくわからない声が聞こえたけれど、誰も見えないし気味が悪い

また襲われたら嫌だしなぁ…


僕はぶらぶらと歩き始めたのだけど、見回しても木々しか見えない

「安心して休めるところは無いかにゃあ…」


結局太い木の枝に登って身を休めることになったのだ


これが僕の不思議な1日目の出来事だった

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