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君は僕のちっちゃいリンゴ  作者: もりた
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左目のほくろ1

前回と主人公は同じです、相手は違います。

この人が好き、と決める時

それは気になるからもっと発展した時?

それとも自分の物にしたい時?

楽しそうに喋っていた、ように見えた。

年の差がある私と違って、同い年の子と喋る彼は。


職場に新人が入ってきた。

最初の流れは私が彼女に教えて、後は彼女が入る部署の、私の後輩が教えることになった。

素直に、可愛い子だった。


後輩に新人を任せるとき、彼はうまく教えられるだろうかと心配になった。

彼女に何歳なのと私が聞くと、彼と同じ年を答えた。

一緒じゃん、と二人のなかを少しとりもって

私は自分の部署に戻った。


私は彼のこと、好きではない。

しかし、彼がいる日は下地から丁寧に顔を整えていく。

先輩という立場を利用して、何度も話しかける。


例えるなら、彼を推しているのだ。

女の子と交遊がないように思える彼が、

他の子と喋るとか笑い合うとか、そういう普通の事があることを

私は想像できなかった。

だから、彼と彼女がいる空間をみて、困惑した。


嫉妬ではない。

ただ少しの焦燥感と独占欲が

私の心のまんなかをずっと迷いながらぐるぐるしていた。


彼の部署はいきなり忙しくなることが多くある。

先輩である私はよく助っ人になる。

今日も彼は追われていた、その時によく

私は彼に話しかける。


違う部署から大きな笑い声が聞こえた。

変な笑い方やなあ、って私が言うと

俺も笑い方やばいっすよ、と彼は言った。

いつもこんな感じで、見かけによらず

私たちは会話に違和感のある詰まりを持たない。

そんなに?と聞くと、

「俺、先輩の前で笑ったことないんで。」

と彼は答えた。


頭の中で、車庫のシャッターみたいなものが

静かに、だけれど素早く降りていった。

彼と私の頭のなかの距離が、遠くなったと思った。


少しの休息時間に入り、さっきの言葉の意味を彼に聞いてみた。

彼の言葉によると、本気で笑った時に

周りにいる人間が彼の笑い声につられて大笑いしてしまうようなことで

それは半年に一度くらいの頻度だそうだ。


そうなんだ、と口にして

私の心はばかみたいに安堵していた。


綺麗な人に話しかけられるのは

決して嫌なことではないだろうとたかをくくり

今までそれなりに楽しく接してきたつもりだった、少なくとも私は。

けれど少し、私自身が揺らいだ。

自分の圧倒的自信が、端のほうからゆるく、

乾いて崩れやすくなった土みたいに

ほろほろと何も無い所へ落ちていった。

別に私、あんたなんかのこと好きじゃないのに。


好きっていう気持ちは

自分の所有物にしたいって思いと

ほぼ同じなのではないか、と考える。

じゃあ自分が、他人の所有物になりたいって思う時はどうなんだろう。

それは愛という言葉になるのではないか、なんて考える。


私のほしいもの、それは私の手に入らないもの。

私の要らないもの、それは私の手に入ったもの。


例えば少し、気になる人や気に入った人がいて

その時の気持ちや感情に

私は未来を想像したりしない。


恋の瞬間、ある人を好きになったのはいつ?きっかけは?

答えようとすれば、何かはあるけれど

そんな境界線なんてない、ただ好きになったの、なんて人間は

誇らしい顔をして叫び散らすだろう。

じゃあ恋って何なの?好きとか、愛は何?


はっきりとした答えなんて持たない、ただ

ひとの感情を、自分のなかに浮いたり残ったりした何かを、

自分の中のずっと分からない何かを

哲学みたいに自分の理論書に書いていく。

そうして偉そうに自分を冷静にまとめて、

私が私を形作っていく。

次回も読んでくれれば嬉しいです。

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