51 森の守護者?①
「道……かね?」
光に包まれた後、木々や草がお生い茂っていた場所が開け、木の間を縫うように1本の道が続いていた。
突然目の前に現れた道に動揺していると、ミケがこちらに近づいて来た。
「この先に行ってみよっ! アキラ君、ミケを信じてドーンと行こうっ!!」
パトリシアちゃんを抱える俺の背中をミケはそう言いながらが押してくる。
ミケさんや、ちょっと色々聞きたいんだけど……でも、ミケが信じてって言ってるしね。まっまぁ……大丈夫っしょ!
ミケを信じ、少し不安だったが木々の間に現れた道を進んで行くことに決めた。
人が一人か二人通れる程度の細い道だったが、足元は誰かが通る為に綺麗にされているようだ。
これは人が住んでるか? いや、それか秘密の抜け道か? なんにしろ、いきなり木が消えてビックリしたけど、あれも魔法かなんかなんだろうな。隠してたって事は……これはお宝がねむってんじゃねぇのか? おじさんなんだか胸が高鳴ってきたよ!
ワクワクしながら進んで行くと、どうやら小道の終点に着いたようだ。
小道の先は、綺麗な花や芝生が広がり、中央には大きな木が生えている開けた場所があった。
「随分とまぁ……綺麗な場所だな。あれ? 真ん中の方にあるの家じゃないかな?」
「ほらほらっ! アキラくん行ってみようよっ!」
広場を見まわしていると、ミケがそう言った後ニコニコしながら中央の木に向かっていった。
「ミケちゃんまってぇ~アリスも行くぅ!」
アリスちゃんもミケの後を追いかけて行く。
「ちょっとちょっと、危ないかも知れないよー。まぁ……このまま居てもしょうがないか」
しかし、パトリシアちゃんもシエナちゃんも静かだな……。パトリシアちゃんはさっきの細い道を通る時から密着度が増してるような気がするんだよな。嬉しいからいいんだけどね? シエナちゃんも大丈夫かな?
そう思いながら中央の木へと向かっていく。少し行くとミケ達に追いつくことが出来た。ミケ達は大きな木と家を物珍しそうに見物していた。
「これは……家が木なのか? 木が家なのか?」
目の前の家屋を見てそういった。
「でも、かわいいよっ? 絵本に出てきそうだよっ!」
笑顔でミケが伝えてくる。
ミケがそう伝えて来た、目の前の家屋は、木に大部分が包まれ、良く見ると大きな木に窓や階段などが付けられていた。
木の中も部屋になっているのかな? 魔女が住んでそうな家だな……そう言えば、道も隠されてたよな……。
考え込んでいると、木の付け根にある、木の扉がゆっくりと開く。中からは女性が一人出て来た。
「……おや? 人が来るなんて珍しい。何か御用か?」
「わぁ~綺麗なおねえさん! こんにちわ! 初めまして! アリスはアリス・ラクナーっていいます!」
元気良く挨拶をするアリスちゃん。それを聞いた目の前の女性はアリスちゃんに近づき頭を撫でながら言う。
「ふっふ……ありがとう、元気なお嬢さん。わたしはソフィだ」
気持ち良さそうに頭を撫でられているアリスちゃんを見て、緊張が和らいでいく。
こんな場所に住んでるからちょっと不安だったけど、いい人そうだし、アリスちゃんも嬉しそうだから大丈夫か……それに……金髪エルフか、おじさんは大好きですね。
アリスちゃんの頭を撫でるソフィさんは、長い金色の髪をなびかせ、綺麗な刺繍が入った緑色のドレスを着ている。まるで森にひっそりと住む魔女の様だ。そして何より耳が人よりも長く特徴的だった。
ソフィさんに見惚れていると、こちらの視線に気づいたのか、近づいてくる。
「ふむ……事情は後にして、とりあえず抱えているお姫様を下して、傷の手当てをしようか」
「あっ! ごっごめん! アキラ下して大丈夫だよ」
パトリシアちゃんは慌てた様子で伝えてくる。
「おっとと……暴れると危ないよ」
パトリシアちゃんをゆっくりと立たせる。
パトリシアちゃんの温もりがなくなっていくのを少し寂しく思っていると、ソフィさんは傷を手当てする為に場所を移動すると言ってきたので後についていく。
「傷の手当てをするからシャツを脱いでくれ。アキラよ、恥ずかしがる歳でもないだろ?」
「ええまぁ……そうなんですけどね。こう、みんなに注目されてるとちょっとですね……」
傷の手当てをするために、今は色々な綺麗な花や植物が生えるテラスに案内されていた。自己紹介は軽く移動中に終えていた。それからベンチに座り手当てを始めようとすると、なぜかみんな周りに集まり見つめてくる。
いやぁ……なかなか注目されると脱ぎずらいものだな。みんな心配してくれてるようだけど……対した怪我じゃないんだよね……。
仕方なくシャツを脱いでいった。
シャツを脱いでいくと、左腕の二の腕から血で滲んだ跡があった。脱いだ後、傷口を見てみるが出血はしてないようだ。
「血は止まってるようだな。ふむ……しかしこれは……」
ソフィさんは柔らかい清潔そうな水で濡らした布で傷口の周りを拭いてくれていた。
「そんなに痛くなかったですしね、大した怪我じゃないですよ」
「いや、そうではなくな……いや、後にしよう。みんな疲れているようだしな。このくらいなら、すぐ治せるさ」
ソフィさんは少し考えていたが、手当てを続けてくれていた。包帯を巻き終えた後に、ソフィさんは傷の上に手を置く。
不思議に思もっていると、徐々に置かれた手が温かくなる。
「おおう……これは治癒魔法かなんかですかね?」
「似たようなものだな。安心しろ、害はないからな」
そうしていると、置かれた手から緑色の光があふれだし、周囲も光の粒に包まれていった。
「綺麗ですね……」
シエナちゃんが呟く。周りのみんなも幻想的な光景に目を奪られて行く。
「大したものじゃないさ。それに、この程度の傷なら後も残らない。だからと言うわけじゃないが……元気をだしなさい」
ソフィさんが伝えてくる。これは俺に対してと言うより、周りのみんなに言っているようだ。
ああ……パトリシアちゃんもシエナちゃんも傷の事、気にしてて元気なかったのね。びびっておじさんが逃げたことに対して怒ってないなら問題ない! あの熊すげぇ怖かったからしたかないよね……?
気になったので二人の顔を見ると、先ほどよりは明るい表情になっていた。
ミケとアリスちゃんはいつも通りな感じだな。キラキラした緑の光に夢中だもの……。心配してくれてないわけじゃないんだろうけども……。
心配されるのは苦手だが、されないとされないで寂しいおじさんだった。みんな大丈夫そうなので、ソフィアさんの手に視線を戻すと、そこから小さな半透明の芽が出ているのに気付いた。
「ソフィさんこの、芽? みたいなのは?」
そう聞くと、少しソフィさんは驚いた表情をした後、どこか懐かしそうに笑っていた。
「アキラは、これが見えるか、やっぱりお前は面白いやつだな。まぁなんだ、後で色々話す事もある、その時に説明するさ」
色々説明してくれるっぽいな。まぁいっか、今はこの光に癒されておこうかな、熊怖かったしね。
そう思いながら光を見つめていた。




