2 気が付けば女子②
……
水が流れる音がする……
「お父さん! おさかなさんがいるよ!」
懐かしいな……子供の時よく父さんに連れてきてもらったっけな。
小川ではしゃぐ、幼少期の自分を眺めていた。少し離れたところから、それを見守る男性の姿がある。
「あんまりはしゃぐとこけるから、気をつけろよー」
少声をかける優しい雰囲気の、ちょっと野暮ったい感じが滲み出てるいるこのおっさんなりかけは……。
まぁ俺の父さんなんだけどね、しかし随分若いな父さん。
そうこうしているうちに、小さい俺は魚につられてころびそうになっている。
てか、ころんでいる。
「おいおい、言ってるそばからこけてどうすんだよ。大丈夫か? アキ……」
……
………
…………ん?
気が付かないうちに寝ちゃってたみたいだな。
少しけだるさを残しつつ、上半身を起き上がらせた。
「お? おおう……?」
目が覚めてみると、布で覆われた簡易テントのような場所にいるようだ。
あれ?ここどこだっけ?なにしてんだったけか……。
そんな事を悩んでいると、左手に温かいものを感じた。
そこには、赤髪の小さい女の子が俺の手を握りしめて、気持ちよさそうに寝ている。
ああ……、そういえばこの子達を野良犬から助けたんだったよな。
意識が飛ぶ前のことを思い出していると、少女がもぞもぞと起きだした。
「んん……おねえちゃんおはよう」
眠たそうに声かけてくれる小さな女の子、ちょっと寝癖がついてて可愛らしいね。
「はい、おはよう」
まだ少し眠たそうな女の子の頭をなでつつ、この状況をどうしたもんかなと悩んでいると、知らない女の子が中に入ってきた。
「アリスちゃんもう少ししたらご飯だよ」
おや、これはなかなかのカワイコちゃんが来ましたね。
ふむふむ……。金髪より少し暗いクリーム色?のボブカット&くせ毛の可愛らしい感じ、そして何よりローブの様な服からものすごく強調している部位。
そう、主におっぱいの部分だ。
ムムッ……!これはなかなかのものをお持ちですね。ドキドキしちゃうね!
「あっ! 起きられたんですね! あぁ良かったぁ……」
そんな下衆な事を考えつつ、目の前で安堵の表情を見せるおっぱいちゃんのおっぱいを見ていたら、アリスちゃんと呼ばれていた女の子が抱き着いてきた。
「おねえちゃん良かった! 目が覚めたんだね!」
ありがとうね、おじさんも君みたいな子に心配されてなんだか幸せだよ。
また、よしよしと頭を撫でてあげると、エヘヘッって照れ笑いをするアリスちゃん。
うん、助けてよかった。カワイイは正義だよね。あ……でもおねえちゃんって事は、そゆことですよね。
とりあえず撫でるのをやめて、自分の体を確認してみる。
やっぱこれ胸筋じゃないよね、こんなに柔らかくないもんね。そしてやっぱり、俺のマイサンはいつもの場所にはいなかった……。うんうん、どっかに落としちゃったのかな? んなわけねぇ!
俺は焦りながらも自分の状況を考え始めた。
どうしようこれ! やばいよ!知らない場所に来た上に、これどうすりゃいいのよ! ええい! とりあえず冷静になるんだ、少し落ち着いて考えるんだ。
……
………
あ~なるほどね、俺気づいたら女子になってるのね。うんうん、世の中不思議な事もあるもんだね。いやぁ無理があるでしょ! 気づいたら女子ってあんたそりゃ、無理でしょ!
俺が焦っていると、アリスちゃんが心配そうにこちらを見てきた。
大丈夫だよ、ちょっと大事な物と急にお別れしちゃっただけだから。
「だ、だいじょうぶだよ、少し驚いちゃっただけだから」
少しじゃないけどね、パニックだけどね。
そんな感じで話をしていると、おっぱいちゃんが声をかけてきた。
「大丈夫ですか?よかったら温かい物を作ったので、一緒にどうですか?」
そう聞くとアリスちゃんが、ワーイっと手をあげて喜んでいる。
おなか減ってたんだね。俺もなんだかんだカラアゲしか食ってないし、もらっておこうかな。
簡易ベッドから立ち上がり、テントから外に出てみた。
うおっ! これすげぇな。
目の前には大きな湖が見えた、その近くの森が開けた場所にキャンプしている。
随分と綺麗な場所だな、こんな場所近所になかったぞ? ほんとにここどこだ?
そんなこんなしていると、アリスちゃんに手を取られ食事がある場所まで引っ張られていく。