11 街で初めてのせんとう②
「よしっ……。行くか……。」
残された俺は、覚悟を決め浴場へ向かう。
――風呂それは、心と体の汚れを綺麗に洗い流してくれる場所。目の前は女湯。男子禁制の場。
今の俺は、女の子。だから入っても問題はない。決して、そう決して見た目は! おじさんではないから、安全だ! バレないはずだ!
そんな分けの分からない事を、思いつつ。いざ禁断の扉を開く。
扉を開け、中に入っていった。
中の浴場は広く作られているが、ジョイスさんが言ってた通り空いていた、というより今一緒に、訪れた人しかいない。そして周りを見回すと。壁や床は、綺麗な白い石で造られ、装飾品等はヨーロッパ風の雰囲気だ。
結構広くて立派だなぁ。おおー、なんか床とか壁も、大理石見たいなので出来てるんだな! ライオンさんはいなかったけど、ドラゴンに似たヤツの、口から水が出てるよ。 ちょいちょいファンタジーだな。
異世界で入る、初めてのお風呂にワクワクしながら、みんなのいる所に向かっていった。
噴水のような場所から、温かいお湯が出ている。そこの近くには桶がおいてあり、ここで体を流すようだ。
近づいて行くと、なぜか皆服を着ている。
あれ? なんでだろ? そう思っていると、エステルちゃん達が騒ぎはじめた。
「ちょちょちょっと! アキラなんて恰好してるのよ! ちゃんと入浴着、着てこないと駄目じゃない!」
「そそそ、そうですよ! アキラさん駄目ですよ! そ、そうゆうのはっ! 大事な人の前でしか見せちゃ駄目ですよ!」
エステルちゃんとリーゼちゃんは、顔を真っ赤にしながら、そう言ってくる。
アリスちゃんはキャー! おねえちゃん大胆!って言ってるし。カティアちゃんは、なんかケラケラ笑ってるし。
「いやぁ~アキラ姉は、ほんっっとに、おもしろいっスね!」
なんか俺まずい恰好なの? お風呂って全裸じゃないの? しかも同性なはずだよね? なんでそんなに、みんな驚いているの? カティアちゃんは、いつのまにかアキラ姉になってるし。
俺は、アリスちゃんから渡された中に、入っていたハンドタオルサイズの布を、肩にかけ。仁王立ちしていた。
日本スタイルってこんなんじゃないの? よく行ってた銭湯の、おじさん仲間はこんなだったよ?
エステルちゃんとリーゼちゃんが、俺に駆け寄り腕をとる。そのまま着替え場所まで連れていく。中に押し込められ、布きれを投げ込まれた。
「アキラさん……それを着てください。着替えてから、ちゃんと戻ってくださいね?」
リーゼちゃんの言葉には、少し呆れた感じが伝わってくる。
怒られちゃった、そんなに駄目だったのかな? うーん……わからん! 着替えろって言われたし、着替えようかな。 これだよな?
投げ込まれたものを確認した。
なんだろこれ? そう思いながら見てみると。それは長い真っ白な、キャミソールに似た物だった。
前は膝にかかるかかからないくらいか。でも後ろはなんでこんなに背中開いてるんだろ? これ逆じゃないよね? 逆だったらかなり卑猥になっちゃうけど?
入浴着と渡された、服に着替え。浴場に戻る。
「着てみたけど、これで大丈夫? 変じゃない?」
そう伝えると、リーゼちゃんが返事をしてくれた。
「はい。大丈夫ですよ。同じような物があると聞いたので、大丈夫だと思っていましたが。アキラさん外国の方ですし、ちゃんと説明しなかった私もいけなかったんです。すみませんでした。」
そう謝罪をするリーゼちゃん。
「あ、いえ。俺も全然知らない事だったので、すいません。あの……、良ければなんで駄目なのか理由を教えて貰えないですか?」
口調が丁寧になってしまった。リーゼちゃんは、丁寧な口調で話してくれるので、こちらも気づくと同じようになる。
そんな俺に、ほんの少しだけ寂しそうな目をした、リーゼちゃんが話し始めた。
「えっと、その。そういった部分はですね。大事な人にしか見せないようにした方がいいんです」
少し頬を赤く染めているリーゼちゃん。とても可愛いです。
しかし、大事な人って言われてもな。みんな同性だし、なんだろ? 仲の良い友達とかにしか見せちゃだめなのかな? あれ? 俺仲良くないの? そんなのおじさん寂しすぎるよ! おじさんを一人にしないで!
そんな不安を横に置き、みんなに伝える。
「そ……そうなんだ。でも、ほら。あれだよ? みんな俺にとっては、大事な人だよ? それでも駄目なの?」
そう言った瞬間。エステルちゃんやリーゼちゃんの二人は、顔が赤くなっていく。二人のそばにいたカティアちゃんまでも、顔を少し上に逸らし、頬が赤くなっていく。唯一、アリスちゃんだけは、嬉しそうな笑顔でこちらを見ている。
え? なにこれ? そんなに恥ずかしい事いったの? 四人中、三人が赤面って……、どうなってんの? やだちょっと! おじさん恥ずかしいよ!
困惑していると、アリスちゃんが抱き着いてきた。
「ありがとうおねえちゃん! 私もアキラおねえちゃんの事、大好きだよ!」
力強く抱きしめられるおじさん。見た目は少女。
頭を優しく撫でてあげると、ちょっと照れくさそうに、俺の胸に顔を埋める。
そんな俺達を、見ていた三人も話し始めた。
「そ、そうゆうのは……。もうちょっとお互いをね、知ってからじゃないと」
動揺を隠そうと、必死になりながらも話すエステルちゃん。目が泳いでるよ? おじさん愛おしくなっちゃうよ?
「そっそうですよ、そうゆうのは少し早いかと。いえ、別にいやとかじゃないんですよ? ただもう少しゆっくりのほうが、わっ私は……」
もじもじしながら俯くリーゼちゃん。凶器が揺れてるよ? おじさんの心も揺れちゃうよ?
「いやぁ~。自分もそうゆうのちょっと、初めてっスから。少し時間が欲しいっスね!」
体を横に向けながら話すカティアちゃん。シッポが綺麗に伸びてるよ? なんか頑張って背伸びしてる感じ、おじさんキュンキュンしちゃうよ?
てかシッポあったんだね……。ケモミミあるんなら、あってもおかしくないか。
シッポが斜め上に綺麗に伸びているため、服がめくれる。もう少しでカティアちゃんのお尻が見えそうになる。
それを、本気になって見つめるおじさん。
カティアちゃんがその目線に気づきお尻を隠す。俯きながらこちらを見ているが、頬が先ほどより赤くなっていた。
いつも余裕を見せるカティアちゃんが、恥ずかしがる姿は、とても素晴らしいです。
クソッ! そっそれは、ズルイだろ! なんか違う一面見せられて、しかもそれが可愛いって! おじさんの方が動揺しちゃうよ! あ……、見てたのバレたのかな? 綺麗になる前に、おじさん臭い飯はいやだよ!
皆の混乱が収まるまで、数分掛かった。
この後、なんとか平常心を取り戻し。体を流してから入浴した。
今はみんなで、湯船につかっている。
かけ湯は大事だよ?
そして……、どうやら俺は、またやっちまったらしい。




