10 街で初めてのせんとう①
「おっふろ~♪ おっふろ~♪」
アリスちゃんが、俺の手を引きながら楽しそうに歌っている。
うんうん、アリスちゃんはお風呂が、大好きなんだね。おじさんも大好きだよ。
でもね……。
おじさんは、どっちに入ればいいのかな?
陽気なアリスちゃんの横で、不安になっている少女。しかし、中身はおじさん。
おじさんは一人うなだれているが、周りのみんなは、ワイワイと楽しそうにしている。
そういえばフェリド君は、帰ったのかな? 地元の人みたいだから、自分の家に帰ったのか。まぁおじさんも、帰るおうちを手に入れたしね!
ふと、フェリド君の事を、思い出していると。
「アキラさんの国では、温かい湯に浸かったりするんですか?」
横からひょこっと、顔を出すリーゼちゃん。相変わらず可愛いね。両手を後ろに回して、首をかしげてる姿なんてもう、やばいよ! その体制だと、リーゼちゃんの可愛くないおっぱいが強調されて、もう凶器だよ! おじさんはイチコロだよ!
その凶器的な、おっぱいを凝視していると、リーゼちゃんは不思議そうな顔で、こちらを見つめてくる。
おじさんも、そのおっぱいが不思議でしょうがないよ!
「ええっと……。一応あったかな?。ここの国と……、たぶん同じだと思うよ」
動揺しつつも。とりあえず、同じようなあるものはあると、伝えておく。
でもあれ? 海外のお風呂ってどんなのなんだろ? あれかな? ライオンの口から、お湯とか出てるの? いまいち分からないが、大丈夫っしょ。多分……。
「そうでしたら良かったです。外国だと、お湯に浸かる習慣があるのか心配でした。でも、大丈夫そうですね! 一緒に入れますね!」
そう言ってくるリーゼちゃんは、どこか楽しげだ。
リーゼちゃんもお風呂好きなんだね。女の子はお風呂好きだもんね。でもね、一緒に入っておじさんの理性はもつのかな?
そんなこんなで歩いていると、結構立派な建物が見えてきた。
おおう、レンガ造りの綺麗な建物だね。結構人気なのかな?
アリスちゃんが、走り出す。建物の入り口に着くと、元気良く叫んだ。
「アキラおねえちゃん! ここがお風呂だよー! 早くおいで―!」
アリスちゃんの元気な声を聴き、俺も覚悟を決めて進んで行く。
ええい! あんな可愛い子が、お誘いしてくれたんだ! 行くしかない!
お風呂屋さんに入っていく。中は結構広く、スーパー銭湯のようなロビーだった。
結構広いんだな。あ、受付の人にお金渡せばいいのかな?
入り口すぐ近くに、人が立っており、そこで料金を払うようだ。
あ、やべ。金持ってねぇや。どうしよう……。
不安な顔をしているとエステルちゃんが、近づいてくる。
「ほら、アキラお金持ってないんでしょ? ここは、私が出してあげるから、感謝しなさいよね!」
俺のほうを一瞬見た後に、少し頬を染めながら、プイっと目をそらし、そう言った。
ちょっと照れてるエステルちゃん。可愛いですね。そしてこんな可愛い子に、お風呂を奢ってもらう、おじさん。
小さな女の子に、お金を出してもらうという現実。羞恥心が刺激されて、おじさんたまんねぇっすわ。
中に進んで少し行くと、壁に立てかけてある看板があった。ここが入り口のようだ。
入り口の看板は二つあり、ひし形マークが書かれていて、色が分かれている。
青とピンクか。これは多分男女で分かれてるって事かな? 流石に混浴って事はなかったか。まぁでも、混浴って結構敷居高いしね、おじさん知らない女性とお風呂とか無理だしね。元気になっちゃうもん。
クラウス君とニック君が、青い看板がある方に入っていくので、俺もついていった。
「アキラ……どこ行くのよ。そっちは男湯でしょ? 女湯はこっち!」
プンプンするエステルちゃん。
やっぱりそうですよね? 今のおじさんじゃダメですよね? うーん……、でもどうしたもんか。
一瞬考え、振り返り返事をする。
「ちょ……ちょっとね。ニック君が背中流して欲しいって言ってたから、流してあげようかなって……」
前を歩いていたニック君が、振り返りこちらに目を見開いた。
あんた何言ってんの? って顔をしながら、すごく、ものすごくこちらを見てくる。
「なんですって! ニック! どうゆうことなの!」
エステルちゃんが、叫びながらニック君に詰め寄って行く。顔に手をやり、めんどくさそうにするニック君。
ニック君ごめんね。巻き込んじゃってごめんね。ほらでも、旅は道連れ世は情けっていうじゃん! なんかニック君そうゆうの慣れてそうじゃん! だからね。 そんな目で見つめないで欲しいなぁ。 おじさんもテンパってたからさ……。 ほんとごめんね!
このままでは、可哀想なので冗談だと伝えると。エステルちゃんは、ならいいわよ!って言って中に入っていった。ニック君は、少し恨めしそうにしていたけど、そそくさと俺も中に入る。
中に入るとそこには、脱衣所があり、服を置く棚や体重計のような物があった。
ほうほう。こうゆう感じなんですね。あ、タオルとかも置いてあるんだ。こうゆうのも全部サービスなんだね。結構良い所じゃん。色々置いてあるけど、どうすりゃいいんだろこれ。
悩んでいると、アリスちゃんが声をかけてくれた。
「はい、これ! おねえちゃんの分用意したよ! ここで着替えてねッ、そしたらこっちにお洋服置くんだよ~」
初心者な俺に説明してくれる、アリスちゃん。マジ助かります。でも、なんで試着室みたいにカーテンに、仕切られてるところで着替えるんだろ? そうゆう文化なのかな?
不思議に思っていると、皆次々と中に入っていった。俺も開いている場所に入る。
まぁでも、みんなの着替えてるところ見ちゃうとか。おじさんの理性が持たないからよかったけど。みんなだって、キレイどころだもん。ドッキドキだよ!
着替えようと思い、ボタンを外す。しかし、思い出すのであった。
自分が女の子だと言うことを。
どうしよどうしよ! これはセーフなのか!? 自分自身だから大丈夫だよね? 中と外が違い過ぎて困っちゃうよ! ぜんぜんリバーシブルじゃないよ!
「お……おう、だっ大丈夫。自分だから! 自分だからね! セーフだよね!」
自分に言い聞かせながら服を着替え始めると、気づいた事があった。
なんかブラとかも、ちゃんとつけてんだな。
男だった時には無かったものも、ちゃんとつけていた。可愛らしいお花柄の、上下ピンクの下着。
これ、完全におじさんがしてたら、速攻捕まる奴だよ。このまま急に男に戻ったりしないでほしいよ! 悲しみしか残らないよ!
ブラを取るのに苦戦しながらも、なんとか全裸になる。
「う~ん……、やっぱりないか……。あ、でもおっぱいはそれなりか」
自分の体を調べ始める。胸はそれなりにあるようだ。
ひえ~、随分と華奢だなぁ。こんなので、良くあの犬倒せたな。ふむふむ、なるほどね、こうゆう感じね。なんかでも、自分におっぱいついてみると、案外邪魔なんだな。あ、でも先っちょはピンクか、よかった、おじさんだった時の、色合いだったらもったいなかったから。 おじさんはドングリみたいな色だったから……。悲しいね。
やっぱり自分自身の体だと、興奮したりしないんだな。そう思っていたらエステルちゃんに声をかけられた。
「アキラ~、私たちは先に行ってるわよ。アキラも早く来なさいよね」
少し着替えに戸惑っていたので、待たせてしまっていたようだ。やはりそこは、女の子。お風呂に入って体を、早く綺麗にしたいのだろう。
ドアの広く音と共に女の子達の声は遠ざかっていく。




