『幻想』と『現実』
【昨日未明、〇×県の〇×市の森で、多くの森がなぎ倒されるという事件が起こりました。原因は現在調査中ですが、死傷者は確認されておりません】
「見てみろ、誠志」
「あらやだ、ニュースになってるわ」
学校をずる休みして古代兵器と戦った翌朝、学校に行く前のテレビ番組でそんなニュースが流れた。
「うん……」
「うん、じゃないぞ。良かったじゃないか、怪我をした人はいなかったらしいぞ」
「ええ、凄いわ! こんなに木が倒れてるのに、貴方はケガもなく帰って来たんだもの! お母さん感動しちゃったわ!」
両親はなんとも呑気に、しかし感動しているのか息子を讃えていた。
確かに機能の段階でレヒテやゴーシェから報告を受けていたが、やはり映像で見ると感動が違うのだろう。
自分の息子が、危険な古代兵器と戦って勝った。
自分も怪我をせず、誰も怪我をさせず。
それを、とても嬉しそうに朝の食卓で喜んでいた。
『ああ、その通りだよ。ご両親のおっしゃる通り、君は凄いことをしたんだ』
とても嬉しそうに、右手のバツ印が青く点滅している。
レヒテにしてみれば、誰も怪我をしなかった、という状況はこの上なく嬉しいらしい。
『僕の初陣は、それはもう酷いものだった。ゴーシェの生み出した兵器は既に都市の大部分に展開し、既に多くの死傷者が発生していた。何とか鎮圧できたが、それでも僕らの仲間にも犠牲が……』
「ごめん、ちょっと洒落にならない」
何も起こらなくてよかったね、というレヒテの実感のこもりすぎた発言に、誠志は今の自分の抱えている心境が不謹慎に思えてきてしまった。
なるほど、そりゃ何事もないのが一番だ。実際、自分が死んでもおかしくない状況であったし。
だが、何か釈然としていないことも事実だった。
「どうした、ヒーロー」
「そうよ、凄い事じゃない」
『何がそんなに不満なんだ? 最高の結果じゃないか』
右手と両親が自分を褒めてくれている。
しかし、どうにも物足りなさを感じている誠志は、なんとも難しい顔でそれを受け入れていた。
※
「なあ、昨日のアニメ見た?」
「ありゃあクソだな」
「だよな、前までの話は何だったっての」
当たり前と言えば当たり前で、高校に登校しても特に何も聞かれなかった。
数日かけて戦ったわけではなく、一日だけ休んだのだから当然だ。
一応親から連絡はしているのだし、無断欠席というわけでもない。
これがテスト期間なら別だが、流石にそういうわけでもない。ならば、この対応は普通だろう。
『何が不満なんだい?』
『お前には言いにくい事だろう、察しろ』
レヒテは脳内に問いかけてくるが、ゴーシェはそれを止めていた。
世界を守ろうとした人工知能よりも、世界を滅ぼそうとした人工知能の方がこちらの情緒を察してくれている、というのはありがたい話である。
「平和だなぁ」
まあ、いいことである。
少なくとも、今朝のニュースを見て一々話題にする方が間違っているのだ。
別に、一々話題になることではない。そんなことよりも、昨晩のアニメの方が気になるのは道理だ。
ただその一方で、授業が始まるまでの短い時間、誰もあの事件を話題にしていないことをささやかに不満に思っていた。
「結構頑張ったんだけどなあ」
一応、自分の両手には地肌そっくりの手袋をつけることで、手の甲のマルバツを隠している。作ったのはもちろんゴーシェだ。
態々男子高校生の手元を気にする輩もいないであろうし、十分な処置だった。
少なくとも、自分とあの事件を結びつけるものは一人としていないだろう。
だが、それは何か寂しく思ってしまう。
こんなことを右手に話しかけようものなら、不満を漏らそうものなら、それはもう経験のこもったありがたい言葉をいただくに違いない。
「なんかフラグ立ってるなあ……」
いっそ人通りの多いところに超古代文明の兵器が現れて、大暴れしてくれないだろうか。
そうすれば自分の活躍が、正体を悟られなかったとしても、それなりに評価されるのではないだろうか。
クラスは自分の活躍でもちきりになって、その正体は誰だ、とか言い合うのではないか。
そうなればきっと、誇らしい気持ちになれるのではないだろうか。
とは思う。しかし、実際そうなれば自分の心中がどうなるのか。
生憎と、その手の葛藤は、それこそやりつくされた議論でしかない。
その手の番組を見れば、そんなことを言っていると実際に街中にその手のが現れて、洒落にならない被害が出て、そんなことを思った自分のせいだと後悔するのだ。
そして、真のヒーローとして覚醒し……。
というイベントが起きる。
ある日突然ヒーローになった青少年の、そのお約束の様な物だ。
リアルではないが、リアリティのある話だ。少なくとも今の誠志は、そんな心境に陥っている。
ちなみに、その後のイベントもお約束だ。
自分と似た力を持つヒーローが現れて、そいつは名声を求めて無茶なことをする。
そして、そんな彼に戒めの言葉を与えて……。
そんな、やりつくされたパターンが待っているのだ。
「馬鹿馬鹿しい」
教室内の喧騒から逃れるように窓の外を見る。
なんとも晴れがましい空だった。
何が馬鹿馬鹿しいといえば、今まさにそんなことを考えている自分が、である。
人的被害は出なかった。それはこの上なく素晴らしい。
危険な無人兵器が、誰も傷つけることなく破壊された。それは素晴らしい。
おそらく、世界中のありとあらゆるヒーローが賞賛する結果だった。
まあ、自然を大事にするヒーローならその限りではないが、そこは人命には変えられないということで一つ。
とにかく、自分は初陣をほぼ無傷で乗り切った。それは素晴らしい事である。
だが、もっとこう、何かあってほしい。馬鹿なことだと分かっているが、こう、素敵な何かを期待してしまうのが思春期だった。
『ククク……』
脳内に話しかけてくるのは、相変わらずのゴーシェだった。
正に悪魔のささやきであることは、客観的な認識だろう。
下手をすれば、文明を滅ぼす爆弾の製作許可を求めかねない。
『我が装着者よ、お前の願いを当ててやろう』
『なんだ、言ってみろよ』
『生活の潤いだろう』
ド直球、ではないが大体あっていた。
そうなのである、およそ悪事を働かなければ褒めてくれる両親と、右手に寄生している人工知能。これらから褒められても、承認欲求が満たされないのである。
せっかく命をかけて頑張ったのに、テストでいい点を取った程度の称賛では、対価としては足りなすぎる。
『なに、思春期の悩みとは女だ。我が創造主も似たような時期があったという』
どうやら、人類は一万年程度ではそんなに変わらないらしい。
そう思うと、中々一万年前の超古代文明人にも親近感がわくというものだ。
『お前が許可してくれるならば、お前の希望しているメイドロボを作成してやろう。お前の欲求を満たし、受け止めてくれるものをな』
「まじで?」
つい口にしてしまった。
そう、この間の食器洗い乾燥機とは違う、ちゃんとした超古代文明感のある、人型メイドロボが欲しいのだ。
なんというか、この上なく浅ましいが……まあ仕方あるまい。だって、思春期なんだから
『なあ、ゴーシェ。お前に萌えがわかるのか?』
『無論だ、『萌え』は文明ではなく文化だが、我は文化にも理解はある。先日手りゅう弾をお前の脳内から読み取ったように、お前の望む理想のメイドを形にすることなど、たやすいことだ』
なんか怖いことを言われている気もするが、そんなことよりメイドである。
例え製作者が人工知能でも、例え中身がロボットでも、とにかく褒めてくれる可愛い女の子が欲しくなるのだ。
そして、それは今まさに、ヒーローとしての分水量に立っている自分にこそ必要なのである。
そしてそれは、正しい脳内嫁の使用方法だった。
別に誰が傷つくわけではないし、誰かが困るわけではない。
ただ、ヒーローとして活躍する見返りを、受け取っている気分になりたいだけなのだ。
他人に迷惑をかけないで自己満足できるなら、それはむしろ必要経費だ。この欲求を満たせないまま過ごす方が危険である。
『ゴーシェ、装着者に何を吹き込んだんだ』
『なに、単に娯楽の提供だ。破壊しかできん戦闘ユニットは黙っていろ』
『装着者を悪の道に引き込むというのなら、容赦はしないぞ!』
『容赦も何も、お互い何もできまい』
『ならばせめて説明しろ、萌えとはなんだ?』
『実社会で得ることができない充足を、架空の存在で得ることだ。これは娯楽の共通事項だが、萌えとはその中でも……』
何やら社会的観点、心理学的な説明を行い始めたゴーシェ。
割と間違っておらず、自分のやろうとしていることを客観的に説明されると空しくなってくる。
『お前ら、俺に聞こえないように言い争ってくれ』
超古代文明の遺産を身に宿して、暴走する超古代文明の兵器を破壊するヒーロー。
でもそんな彼は両親と人工知能ぐらいにしか褒めてもらえないので、メイドロボを作ってもらうのだった……。
すさまじいまでの駄目さ加減である。
仮にそんなヒーローがテレビの向こうにいたら、情けなくてファンをやめたくなるだろう。
だが、いいのだ。誠志にはメイドロボが、特に何かの根拠があるわけでもないし必ずしも要るわけではないが、素直に欲しいのである。
金銭的負担を考えなくてもいいのなら、そりゃあメイドロボの一体や二体、欲しくなるだろう。
これから先、どんな辛いことが待つのかわからない。分からないが、確実なことがある。それは、なんの後ろめたいこともなく甘えることができて、ありとあらゆる欲求を受け止めてくれる存在がいれば頑張れそうなのだ。
「ちょっと、安藤君。なににやにやしてるのよ」
色々なことを考えていたのだが、どうやら下種な考えが一番顔に出ていたようだ。
我ながら、客観視したくない顔だったのだろう。クラスメイトの女子が見かねて話しかけてくるほどに。
「貴方まさか、昨日いかがわしいお店にでも行ってたの?」
「んなわけねえだろ、年齢で考えろよ! 俺が二十過ぎに見えるのか?!」
まあ、疑われても仕方がない。
きっと、そんな顔をしていたのだろう。
少なくとも、箇条書きにしたら恥ずかしすぎることをしていたのは事実なのだし。
脳内で描くだけならまだしも、実行を前提としているだけに質が悪い。
いかがわしいお店に赴くどころか、超古代文明によっていかがわしい製品を製造しようとしているのだから。
永久機関と再生能力を持ったメイドロボとは、食器洗い乾燥機以上に技術の無駄遣いだ。
仮にもかつて文明を滅ぼしたユニットに、そんなもん作らせていいのだろうか。
良くないかもしれない、それでも作る、作らせる。
「どうだか、じゃあ何してたのよ」
この上なく、誠志のクラスメイトは疑いの目を向けていた。
もちろん、断じて、遊びに行っていたわけではない。少々後ろ暗いところはあるが、後ろめたいことはなにもない。
しかし、説明して納得してもらえる自信はない。
【超古代文明を滅ぼした兵器と、それを破壊した兵器を一昨日宿したので、同じく超古代文明の兵器を破壊するために、昨日休みました】
おかしい、事実なのにまるで事実に聞こえない。
頭の悪い小学生でも、そんなことは言わないだろう。
というか、両親が口裏合わせをしてくれるわけもない。そんな状況で、頑張ってらっしゃい、とお弁当を持たせて送り出すわけがない。
現実は、小説よりも奇なり。人生とはわからんもんである。
というか、人間性を疑うところだ。むしろ両親の方が人工知能に見えたほどである。
「なんでお前に言わないといけないんだよ。俺が学校休んでもいいだろ、ウチの親にだって話はしてるんだし。無断欠席でもないだろ」
「そうだけど、見てておかしいでしょ、休んだ次の日ににやにやしてたら」
「おかしくてもお前には関係ないだろ」
無茶苦茶な理屈だが、何もおかしくない。
一応学校に保護者から連絡が行っているし、なにか特別な行事があったわけでもない。
単なるクラスメイトに、そんなことを言われる筋合いはない。
なんでそんなことをこのお嬢さんに一々報告しなければならないのか。
下手な言い訳をする必要など一切ない、ただ突っぱねればいいだけである。
「ちょっと、鈴木さんにそんな言い方ないじゃない!」
何故か、ありえないことに、それに異議申し立てをしてくる女子が何人かやってきた。
「え?」
「鈴木さんはアンタの事心配してたのよ!」
「心配してくれてありがとうとか、心配させてごめんねとか、言えないの?!」
「何様よ! アンタ!」
いや、お前らが何だよ。
座っている誠志を、いつの間にか女子が囲んでいた。
五人の女子に囲まれては、もはや周囲の男子は手が出せない状況である。
「あ、ああごめんごめん、悪かった、言い方が悪かった」
ここで無駄に意地を張るほど誠志は強情ではない。
女子からの人気など気にする性格ではないが、態々敵を作ることはない。
別に女子から気に入られてもいいことはないが、嫌われては悪い事しか起きないのだ。
「なによ、その適当な謝り方は!」
「ちゃんと謝りなさいよね!」
「鈴木さんに失礼でしょう!」
おかしい、ここまで言われる筋合いはない筈だ。
最初に注意してきた鈴木という女子よりも、露骨に他の女子の方が圧力が強い。
「わ、悪かったって……」
何がどうしてこうなった。
そして、こればっかりは人工知能に頼んでも仕方がない。
「もう、分かってるの?」
「いや、本当に悪かったって……」
ここでさらに強く突っぱねることも、逆切れすることもできるだろう。
というか、この場合逆でもなんでもない。理不尽な抗議には、きちんと抗議するべきなのだ。
なんでこんな風にがたがた言われないといけないのか、誠志にはさっぱりわからない。
世間一般の理屈から言って、学校を休んだことでクラスメイトに声をかけられて、それを突っぱねた程度でここまで群がってくるだろうか。
「ちょっと、皆! もういいわよ!」
どうやらそう思っているのは誠志だけではないらしく、鈴木もそれを止めていた。
これではどちらが悪者かわかったものではない。
どう考えても、誠志が鈴木をあしらったことよりも、彼女たちが誠志を追い詰めている方が不条理だった。
これでは非を認めさせるどころか根に持つと思うのだが。
怒っていることは分かったが、はっきり言って逆効果である。
誠志が少々後ろめたいことを抱えていなければ、それこそ怒り出すところだった。
「ね、もう先生来るし!」
それを察したわけではないだろうが、とにかく鈴木が自分を助けようとしてきたおせっかいたちを解散させて、自らも席に戻っていく。
こうして、とりあえず誠志は解放されたのだった。
※
『なあ、君はそれでいいのか?』
帰りのホームルームが終わったところで、足早に席を立ち、そのまま帰宅しようとする誠志。
その彼へ、良心の役割を果たすようにレヒテが話しかけていた。
もちろん音にならない声だが、それでも確実に脳内へ響いていた。
「ねえ、安藤君、ちょっといいかな?」
「悪い、家に用事があって……」
外からも鈴木から話しかけられるが、それもほぼ無視していた。
今の彼の心中は、やましいことでいっぱいで、恥ずかしくてたまらないのだ。
だが、中断するつもりは一切ない。
「そ、そっか、ごめんね」
「ああ、じゃあね」
『そんなに邪険にしなくても、いいと思うよ』
『うるせえ、黙ってろ』
一々うるさいレヒテを、誠志は黙らせていた。
はっきり言って、この状況で彼女と話す意味がまるでない。
正直、家に帰ってメイドロボの作成に取り掛かりたいのだ。
『君が慰安の為に家政婦を作りたい、という気持ちはよくわかる。君も戦う覚悟を持った戦士だ、そういうぬくもりを求めるのは一般的で恥ずかしい事じゃない』
なんか、人工知能のくせに高潔なことを言い出すレヒテ。
それが案外、自分でも思っていることだけに腹が立つ。
『だが、世界を滅ぼしたゴーシェに、そんなものを作らせて危機感は感じないのか? それに、今ここにいる彼女が何か言おうとしていることがあるみたいだし、それを振り切ることなのかい?』
なんでこの人工知能は、こんなに反論できない正論をぶつけてくるのだろうか。
もうこの際右手を切り落として破壊して、義手に変えようかと思うほどだ。
『萌えキャラを邪険にしても誰も悲しまないだろう、萌えキャラを後回しにしても誰も困らないだろう。だが、そこにいる彼女は悲しんでいる。君は物事の優先順位を考えるべきだ。いざという時に、きっと後悔するぞ』
『馬鹿馬鹿しい、物事の優先順位を決める決定権は常に己にあるのだ。他人の顔色ばかり窺って、主体性を捨てて滅私奉公しろと? 馬鹿な、既に装着者は学校での学業を終えて、社会的な義務を果たしている。なぜ同じ教室で学んでいるだけの女子の都合を気にせねばならない』
なんだか、どんどん申し訳ない気持ちになってくる誠志。
世界を滅ぼした人工知能の発言は、完全に自分勝手で、しかも自分の行動はそれそのものだった。
それなりに筋が通っているのに、言い方ですべてを台無しにしている。
これでは自分が悪人の様だった。
『そもそもだ、あの鈴木とかいう女の都合がよほどのものなら、事前に連絡して約束を取り決めておくべきだろう。加えて、一度断ればそのまま引き下がった、その程度の事ならどうでもよかろう』
『ゴーシェ、お前の言っていることはおかしい。いいかい、君が優先しようとしている事は本当にそんなに重要なのかい? メイドロボを一刻も早く作ることと、彼女の話を聞くこと、それは天秤にかけて比べてみてどうなんだい?』
『邪推だな、それは戦闘ユニットの領分を越えているだろう』
『お前こそ戦略ユニットの枠組みを超えているじゃないか』
『慰安もまた戦略物資だ。それはお前も認めるところだろう』
『それはそうだが、それは彼女の都合を切り捨てるほどなのか?』
『なぜ装着者の意向よりも彼女の事を優先する』
『彼女は伝えたいことがあるようだった。戦士は明日の事など保証されていない。もしもの時に、彼女の事を思い出して後悔して欲しくないだけだ』
言い争いをし始めた両人工知能。
黙れ、といいたいところだが、議論の内容が後ろめたいので、止めることができなかった。とりあえず、また女子に捕まる前に撤退である。
『彼は戦士だが、学生でもある。学友をないがしろにしては、学業に支障をきたすだろう!』
『学友だと? 別に共同研究しているわけでもあるまい。特に親しい間柄、というわけでもない』
『これから親しい間柄になるかもしれないじゃないか。お前が余計なことをしたせいで、話がこじれたらどうする?』
『我が何時進言をした、忘れたわけではあるまい』
『彼女に会う前だったな、だから何だ。まさか早い者勝ちだとでもいうのか?』
『我は妨害をしようなどとは思わなかった。疑念で目が曇っているぞ』
『健全な学び舎で提案することか?!』
お願いだからやめてほしい。
これ以上俺の事で争わないでほしい。
そんなに大真面目に議論しなければならないほど、誠志がメイドロボを欲しがっていることも、鈴木というクラスメイトが自分に用事があることも、大したことではないはずだ。