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ダンジョンガイドさんの仮想現実生活ログ  作者: まいなす
『第1話 ダンジョンガイドさんは迷った』
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 アンビリム大陸北東の街【ド・ルス】。

 仮想現実の広大な世界地図で言うところの、本当に右上の端っこの方に追いやられている辺境。そんなド田舎街の郊外に俺が店主を務めている雑貨屋『みちしるべ』はあった。


 木造建築家屋二階建て。

 二階部分はギルドの集会所を兼ねていて、メンバーそれぞれの部屋がある。

 そして一階部分は店舗スペースのほか、その裏にダイニングキッチンやトイレ、風呂場などの生活するために必要な空間が確保されていた。


 で、今しがたログインを終えたばかりである俺は一階のダイニングルームへ朝食にありつこうと下りていったのである。


 すると先客が二人ほど。

 金髪碧眼の双子ハーフニンフ。

 メイメイとルイルイである。

 彼女たちは色違いのワンピース寝間着を着たままダイニングテーブルの上で絡み合っていた。十五禁くらいの性的な意味で。


「おはよう。朝から仲がいいなあ、二人とも」


「ばっ、見てないで助けろよっ! ひゃんっ、ルイねえっ、や、やめなっ、やめろぉーっ!」


 テーブルの上に背中をつけて組み敷かれていたメイメイが涙を目に溜めて叫ぶ。けれども彼女を組み敷いていたルイルイはそれを完全に無視。楽しそうな顔でメイメイの寝間着の下に手を突っ込み、慣れた手つきで胸部をまさぐりながら、彼女の首筋や耳を甘噛みしまくっている。


 つーか、このままではメイメイは涙を散らせるどころか、花を散らせるのでは?

 ちょっとだけそう危惧してしまったが、よく考えるとルイルイの妹に対する過度なスキンシップはいつものことだったのでスルー。俺はキッチンに向かった。


「二人とも、朝ごはん和食か洋食どっちがいい?」


「おいテメェコラっ、死ねっ薄情者ぉッ! おぼえてやがっ、ふぁぁあぁあぁっ! ルイねぇっ、ちょっ、し、下はっ、下はだめぇっ!」


「よし。洋食にするよ」


 倉庫ボックスを見ると、ちょうどベーコンが目に入った。今日の朝食はベーコンエッグ、サラダにトーストで決まりだな。あとは人数だが。


 先ほどギルドチャットで会話してわかったが、ビブリオくんはまだしばらく【ミスティア大陸】【竜の巣】の【アルボス大図書館】に泊まり込むそうだ。それから、ミューさんはというと、尖り耳絶対主義者と獣耳至上主義者たちの間で勃発した第八十四次人外耳戦争の調停役として、【ハーティン大陸】の【アドリビティウム】に出向いている。


 そうなると三人分か。

 それだったら調理スキルを使って作る必要もない。

 俺はフライパンを取り出してコンロに火をつけた。



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