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彼女たちこそルイルイとメイメイだ。
二人が身を寄せ合って地面に腰を下ろしているから見落としていた。いやー、あまりにもゴブリン顔を筆頭にしたおっさんズが色々とやばかったので俺の感知スキル(ランクA)も形無しである。面目ねえ。
部下の仕事ぶりを眺めて満足そうに頷いたゴブリン顔は放っておいて、ススッと二人の方へ近づいていく。そんでもって二人の状態異常を確認する。
【捕囚】
……げっ。
彼女たちに近づいたところで二人のパーソナルキャラの頭上にそんな文字が浮かんだのだ。
【捕囚】状態だとアイテムが使用できないどころかインベントリも開けられない。道理で。メイメイからSOSメッセージが届いた後、何度もこっちからメッセージ送ったのに返信がないわけだ。
よく見てみると、二人の手枷は【王都ジークハイン】の憲兵とかが使っている軍の正規モノだった。このおっさんズはどう見ても憲兵とかいうナリではないし、レベルと装備品から見積もって、おそらく傭兵団ギルドだろう。合法的にプレイヤーキルができる【戦争】が行われているどっかの戦場のどさくさで軍用のレアアイテムをクスねてきたに違いない。最近、【戦争】の開催が異様に多いからな。それにしたって本来なら犯罪者を縛るためのアイテムを犯罪者に使われるなんて、皮肉なもんだ。
とりあえず二人を縛っている軍用手枷の鍵を探さないことには、移動制限効果もかかってるので俺にはどうにもできない。いったい誰が持ってるのか。まあ、ゴブリン顔さんだよなぁ。再びあの顔と対峙しなければならないのかあ。やだなあ。
「ルイねぇさんは、お、おれが、守るから……っ」
一度見たスプラッタ映画をもう一度見せられるという悩ましい気分に悶々していると、男たちの下卑た視線に恐怖しながらもメイメイがルイルイに寄りかかる。
ほう、感心感心。自分の身を挺して姉を守ろうとするなんてデキた妹だ。金髪ツインテールというところもポイント高い。