表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンガイドさんの仮想現実生活ログ  作者: まいなす
『第0話 ダンジョンガイドさんは困った』
69/183

68


「それだけの、それだけのために。このシャノーラさまに、あんな。あんな恥ずかしい思いを、させ、させるなんて。うふふ、滅ぼしてやるわ。跡形もなく、駆逐してやる。あは」


「こえーよ。落ち着けよ。一つの種を絶滅させちゃうとドミノ倒し的にそのダンジョンの生態系が崩れちゃうだろ」


「ア?」


 俺の指摘に、ハーフヴァンプ少女は顔を少し上げてギロリと睨んだ。やべー、やべーぞ。これ。彼女の殺伐とした表情はもはやホラーだ。


「そういえば、そういえば、思い、思い出したわよ。あたし。あんたに、み、みみ、みみみみみられたのよ、ねぇ? ウッドテンタクル滅する前に、あ、あん、あんたから、ままま、まずあんたからぶ、ぶぶ、ぶっころろろろ」


 四つん這いでゆっくり近づいてくる彼女に恐怖を覚える俺である。


「ちょ、ちょい待ち。あんた壊れたラジオみたくなってる。あと、安心しろ。俺、見てないから」


「うそだッ! うそつきぃッ! あんたあたしの、あたしのっ、あのっ、うぅ、く、口に出して言えないようなところをぉっ、みっ、みみ、見たもんっ! だっ、誰にもっ、まだ見せたことなんてぇっ、なかったのにぃっ! だからぶっころしてやんだうわあああああああああああああああああああああああああああああっ!」


 両目から涙を飛ばしながらポカポカと叩いてくるハーフヴァンプ少女に対して、俺はドードーと馬を落ち着かせる要領でなだめる。


「その点は大丈夫だって。だって俺、まだ未成年だし」


 この仮想現実内では未成年者のプレイヤーだと不健全なシーンには自動的に規制が入るということは周知のとおりである。なので、さっきのハーフヴァンプ少女の放尿シーンにおいても、彼女が言う口には出して言えないようなところは不自然な光によって隠されていたため、いっさい見えてはいなかったのだ。


 俺の釈明にハーフヴァンプ少女は少しだけ落ち着きを取り戻したようだ。


「………………ほんと?」


 うぐ。

 性格は最悪だと知っているが、時々、どうもこのクソアマ。滅茶苦茶に可愛くなるときがあるから困る。涙を溜めた上目使いでこっちを見てくるハーフヴァンプ少女から目線をそらしながら、俺は『あ、ああ』と応えた。


 しかしながら、そんなラブコメ的雰囲気もつかの間のこと。ずびびーと彼女が俺の服で鼻をかむことでぶち壊した。やっぱ嫌いだ。この女。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ