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ダンジョンガイドさんの仮想現実生活ログ  作者: まいなす
『第0話 ダンジョンガイドさんは困った』
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 シーフというのは盗賊系ジョブ中で最下位、転生時に選択できる初期職の一つだ。


 プレイヤーはレベルを上げていくと、シーフのような初期職から系統別に枝分かれする上位のジョブ、すなわち中級職のバンディットやさらに上級職のローグなど、どんどん転職してランクアップしていくことができる。上位のジョブに転職する恩恵として、例えばステータスのカンスト値がより特徴的に増加したり、レベル上限やスキルスロットの拡張解放、さらにランクB以上のスキルについては上級職でないと取得使用ができないなど、様々なものがある。


 ただし転職にはジョブごとに人数制限が設けられているので、それが一つの争いの種にもなっている。


 というのも、転生後の最下級のジョブは人数の上限は設定されていないので自由に選べるが、上位のジョブになるにつれて人数制限が入る場合がある。例えば、自分が戦士系上級職である【狂戦士】になりたいと思っても、その時点での【狂戦士】プレイヤー数が上限いっぱいの千人いたとすると、【狂戦士】は転職先に選択できなくなるという仕組みである。


 悲しいかなそのせいで、人気の高いジョブは制限人数の空きを作るために狙われたりすることも多々あるのだ。


 ちなみに、ハーフヴァンプ少女のジョブである暗黒騎士は剣士系ジョブの上級職。わりと、というか結構な人気があるレアなジョブだった。


「ふうん。でも上級職って言っても、どうせ人気のないレア度低めのジョブなんでしょう? そんなカスいHP、あたしの通常物理攻撃(弱)で吹き飛ぶじゃない」


「ほっとけよ」


 これでもHPはカンストしているんだぞ。


「ふっふーん。ちーなーみーにー。かく言うあたしは暗黒騎士よぉ。攻守体力が揃った前衛の花形である、あ・の・暗黒騎士さまよぉ?」


「へえ、そーなのかい。スゴイネ」


 【分析眼】で見たから知ってたけどね。一応、適当に驚いて見せると、ハーフヴァンプ少女は調子に乗って頭を高くする。


「ねねぇ、いいでしょー。どう、うらやましい?」


「…………」


「ねえったらー、黙っちゃってもー。ホントはうらやましいんでしょー? ほら正直に言ってみなさいよー。うらやましいですぅって」


 まあなー。


 確かに暗黒騎士ダークナイトは男の浪漫を感じて格好良いとか思ってたふしもある。スキル詠唱も無駄に格好いいやつが多いしな。


 でも、胸を張って威張りながら指でつついてくる目の前の暗黒騎士の笑顔がとてもウザいことを考えるとなー。俺の中で暗黒騎士の評判が撃沈してしまったことを彼女は知るよしもないだろうなー。


「キャーステキー。ウラヤマシーデスー」


 再び適当に褒めてやると、ハーフヴァンプ少女は指でつつくのをやめてジト目になった。


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