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ダンジョンガイドさんの仮想現実生活ログ  作者: まいなす
『第0話 ダンジョンガイドさんは困った』
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 いったい何をやっているのだろうか。

 さっきからずっと三角座り。

 時折、鼻をぐずらせている音が聴覚スキルによって研ぎ澄まされた俺の耳に入ってくるのみである。

 暇を持て余して作っていたイエティ・ハイウルグを象った木彫りが完成してしまった。


 二体目にとりかかる前に手を止めて、考えないようにしていた彼女の不可解な行動に対して考察してみる。


 もしかして、日が昇るまで待つつもりか。だったらなぜ早く火を起こさない?


 この【インベルグの密林】は自然ダンジョンである。


 自然ダンジョンというものは、建築物系迷宮系などのダンジョンとは違って、それぞれ特徴的な自然現象をダンジョン内にはべらせている。例えば、【霊峰テルベルグ】はある階層以上は常にフィールドが雪に覆われ、凍結防止のスキルを付与していないとものの数分でカチンコチンになったりエトセトラ。【カイザッハ古戦場】なんかはランダムで特大デバフがかかってしまう瘴気の竜巻がフィールド内を移動していたりエトセトラ。


 そして、ここ【インベルグの密林】が持つそれの一つとして、昼夜の寒暖差が激しいというものがある。すなわち昼間は熱帯気候でとても蒸し暑く、逆に夜はとても寒いのだ。


 というのは、ここは樹齢千を超える大樹が多い。その大樹たちは意思を持っており、自らを伐採せんとする者たちを追い払うための用心棒的な意味合いで、樹精を自分に住まわせていることがある。樹精は火を嫌うが、光と熱は好む傾向にある面白い生体をしている。


 よって、樹精は太陽がない夜の間、星の光が集まる場所や気温の高い場所に集まりやすい。なので、ここの大樹たちは樹精が自分から離れてしまわないように夜になると周囲の『熱』を『吸う』ようになった。その結果、太陽が沈んだ段階からこの密林の気温は徐々に低下していき、やがて明け方、太陽が昇るころになると氷点下にまでなってしまう。


 という、設定である。


 ゆえに、このダンジョンに入るときに必要不可欠なのがそれなりの防寒装備だ。

 もしくは焚火するための種火や薪というようなアイテム。

 あるいは火属性スキルを使えるナッカーマ。


 もし、その準備を怠って暖をとれるようなものが何もなければ、一定の気温を下回った時点からプレイヤーに地形ダメージが入ってHPがどんどん減っていく。そういうダンジョン仕様なのである。


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