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「あんた、ま、まさか。それを盾にしてあたしにもっとえっちなことをするんじゃ……っ」
「……うっわ。あんたの中で俺はどんだけ鬼畜設定なんだ?」
納得いかないなあ。
まあ、善人だとは言わないが。
天罰が下らない程度に善人であるよう心掛けてる中庸人だと俺は自分を評価しているところである。
「まあ、いいや。そんな面倒くさいことはしない。確かに、あんたの容姿は自分で可愛いとか美少女だとか言うだけあって魅力的だけど、」
「……な、なによ。今さら褒めても、ゆ、ゆるしてあげないんだから」
「性格の方が最悪だ。安心しろ。俺のストライクゾーンにはまるっきり入ってないから」
「……っ! あっ、あたしだってあんたなんか願い下げよっ!」
「おー、意見が一致したじゃないか。だったらお互いいらない心配をする必要はないということだ。いえーい」
ぱちぱちと気のない拍手する俺に、余裕を取り戻してきたのか。
ハーフヴァンプ少女は息を整えてクールぶった顔を取り繕って鼻を鳴らす。
「……ふん。もうどうでもいいわ。何もしないなら早くそのカギをよこしなさい」
「無理だな」
「なんでよっ!」
「だってあんた。その手枷が外れた瞬間に、俺に切りかかってくる腹だろう?」
「そ、そんなこと、しないわヨ? ほら、早くよこセ? 今までのことはゼンブ水に流して、見逃してアゲルから。ね?」




