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「…………まだ気絶状態かよ」
手枷をした両手を万歳して、胸とかヘソとかパンツとか太ももとか涎とかをモロ出ししながら目を回しているハーフヴァンプ少女に、何というか、あきれてしまう。
なんでかな。俺もわりと健全なスケベ童貞男子のはずなのになー。
全然、ぐっとくるものがない。
要望するなら、もっと恥じらいってものを見せてほしいものである。
気絶してる人間に言うのも酷な話ではあるが。
ちょっくら足でハーフヴァンプ少女のふっくらした胸をツンツンとつついてみる。
「あぅ…………」
そんな吐息が彼女の薄い唇からもれるだけ。
うーん。だめだ、こりゃ。
気持ち良いぐらいに気絶状態から回復しねーな。
何かしらアイテムを使ってあげたほうが良いだろうか。
まあ、状態異常からの自動回復の確率は幸運値に依存してるとこあるしなー。
赤の他人ではあるが、このままこの格好で放置しておくのも、何だかちょっとばかし可哀そうな気もしないでもない。
念のため、【分析眼】で他にどっか異常がないか彼女のステータスを確認する。
……うっわ、やっこさん。
暗黒騎士のランクAジョブスキル【薄幸】を取得してやがるじゃないか。
【薄幸】は幸運値以外の全ステータスに特大プラス補正が入る反面、幸運値に特大マイナス補正が入るというゲテモノである。
もともと種族的に幸運値がとても低いくせ、レベルアップ時にもらえるボーナスポイントも幸運値には振ってないらしいところへ、さらには【薄幸】とは驚いた。
いや、驚いたというより、ちょっとイラっとした。
このアマ、運命とか不確定要素とかってやつを、いささか舐め過ぎではないだろうか。
しかも、そんなユニークなキャラ仕様でソロプレイやってるとは。
自殺行為だ。
全滅した汚いおっさんズに負けず劣らずの無謀っぷりである。




