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ないんですが。
横薙ぎで振るわれたハルバードの軌道を回避しながら困っていた。
ハーフヴァンプ少女と戦闘中のゴッドヒルトさんが着ているレザーアーマーで鍵が入れられそうなところはあらかた調べた。しかし、肝心の鍵が見つからないのである。あと調べてないところといったら、下半身くらいしか残っていないわけだが。
…………。
腰を落として頭を抱える。
その頭上でガキンという剣戟音。ハーフヴァンプ少女が振り下ろしたハルバードをゴッドヒルトさんがブロンズソードで受け止めたのだ。ハーフヴァンプ少女とゴッドヒルトさんの筋力値が拮抗しているのか、二人はそのままジリジリとつばぜり合いモドキを始める。可愛い女の子が筋肉ダルマなオッサンと力が均衡するという現実ではありえないのが仮想現実の日常である。
いや、そうじゃなくって。
ちょうど手が届きそうな位置にあるモッコリが視界の端に入る。
ゾゾゾーッ。
鳥肌のスタンディングオベーション。
いーやーだー。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だー。
美しくないおっさんの股座をまさぐるだなんて。
精神的自殺行為に他ならねえ。
それだけはー。
それだけは勘弁してくれー。
俺の尊厳が壊滅的なダメージを追うことになって再起不能になるやも。
けれども、もうそこくらいしか隠せる場所なんてねえのだ。
くっ、腹をくくるしか……。




