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異文化エッセイ

和魂タイ才 タイフェスティバル2013

作者: 中原恵一

 結論だけ、書く。失敗した。失敗した。失敗した失敗した失敗した失敗し(ry


 冗談はさておき、先日私は名古屋まで足を延ばして、第十四回タイフェスティバル(งานเทศกาลไทย ngaan1theet3sa2kaan1thai1)なるものに出てきた。25日、26日の土日二日間に行われたこのイベントは在日タイ大使館やタイ国政府観光庁などもブースを出展し、動員者数30万人を超えるという嘘みたいにごった返すイベントである。


 さて私は名古屋駅を降りてから友人S君(タイ語関係でもりあがれる数少ない言語オタクの友達)に案内されて、久屋大通公園にやってきた。土曜日は晴天だったのはいいのだが夏並みに暑く、氷の入ったタピオカミルクティーやらトロピカルジュースやらの店に行列ができていた。

 

 この日出店していた半分以上の店は食品を扱っていたと思う。

 立ち並ぶ数々の屋台を見て、私も食欲が湧いてきた。

 なにせ朝食もほとんど抜いてきたので腹ペコだった。早速グリーンカレーを食べたのだが、これが大当たりで非常においしかった。一緒にいた友人は辛くてだめだったらしく、結局私が彼の分まで奪い取って食べるという食い意地を発揮してしまった。

 以前、市内にあるタイ料理屋でトムヤムクン(ต้มยำกุ้งtom3yam1kung3、クンは海老の意味)を食べたことがあったのだが、これが舌が焼けるほどものすごく辛くて心が折れかけたことがあり(スープ自体はおいしかったのだが……)、味についてはかなり危惧していた。

 ほかにもパッタイ(ผัดไทย phat2thai1)を食べたが、こちらは味は悪くなかったが油が強くちょっと苦手だったかもしれない。


 話を本題に戻す。

 この日私がわざわざここまでやってきた理由はなんとしてもタイ人の友人を作るためだった。

 しかし、私のゴミのような社交性が大いに発揮されてしまった。

 友達はおろか話しかけることすらできない。いくら外国語を勉強しても実際に使わないんじゃな意味がないじゃないか、と思うかもしれない。

 まさにその通り。

 当初言語の話で盛り上がっていた私たち二人だったが、自分たちがきわめて場違いなところに来ているということに気づいて追い詰められつつあった。

 実際タイフェスにきているほとんどのタイ人たちがもともと知り合いと一緒来ていて、近寄りがたいオーラを発していた。


S君「どんなに外国語を上手に喋れても、たくさんの知識だけ身に着けても、実際に人にしゃべりかける勇気がなかったら意味がないのよ!」

俺「中原恵一は滅びぬ、何度でも蘇るさ!」 


 結局、私たちは公園と道路をはさんで外にある広場で、日本人二人で教科書を見ながら負け犬のようにタイ語を勉強するというよく分からない光景を繰り広げていた。

 山ほどいるタイ人たちを食い入るほど見つめて声をかけられないという膠着状態は二時間ほど続いた。

 しかしここで、一緒に来ていたS君が救いの手を差し伸べた。

 彼の大学が出展しているブースに留学生が来ているから話しかけてみてはどうか、と提案されたのだ。


 大天使S君のおかげで私はそのまま大学の実施していた初級タイ語講座を受けることになった。

 講師の教授は、もともとタイの歴史が専攻でタイ語を勉強したというからすごい。


 その日のタイ語の授業、というのは文字と発音、基本的な挨拶といった内容だった。

 さすがに私はもう二か月も勉強しているので楽勝だったが、一緒に来ていたS君は声調で苦労しているようだった。

 タイ語の声調は第一声と第二声、第三声が大きな関門で、高中低の三つの高さを言い分けるのが難しい。実際私も前に、「ไข้(khai3 熱)」と言おうとしたところ「ใคร(khrai1 誰)」だと思われてしまったことがあった。


 そして教授と一緒にタイ語を教えていたタイ人の留学生と連絡先を交換することに成功した。

 私たち二人はそのまま遠慮せずブースを二度も三度も訪れて、周りを気にしない言語トークで女子大学生をドン引きさせるなどの輝かしい伝説を残して去っていった。

声調について。


声調は数字で表記していますが、以下の通りです。


第一声 平ら、平声

第二声 低く平ら、低声

第三声 高いところでいったんためてから下がる、下声

第四声 もともと高いところからさらに上に上がる、高声

第五声 いったん低いところでとめてから上がる、上声

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