1 始まりの朝
小鳥の声が、藍の部屋に響く。今日一日が始まるサインだ。
朝ごはんを済ませ、用具を整え、髪の毛をセットする。
藍の髪の毛は名前の通り藍色のきれいな髪型。
長い毛が、学校では自慢のヘアだ。
「いってきま~す!」
さわやかな朝。
さわやかな空。
これこそ藍が望んでいた朝だった。
「まってたよ~!藍!!」
「瑠香!おはよ~!」
いつも話が合うのは瑠香くらいだった。魔女が好きというおかしな趣味を唯一認めてくれる女の子だ。
「ねぇ、昨日魔女の本が図書館にあったから、放課後に行かない?」
「賛成!!」
毎日これの繰り返し。
そう。魔女になんてなれない。そんな生活が、一番つらかった。
教室に入ると、机の上に紙が乗っていた。
瑠香が耳元で囁く。
「プレゼントだよ・・・。」
みてみると、チラシとなにかのチケットだった。
『奇々怪々の世界へこうこそ。』
『何ヵ国もわたった我が劇団では、魔女やマジシャン。占い師などなどを取り扱っている。ぜひ我がショーをこの町に披露したいとおもう。無理に来なくてもよいぞ。さぁ、我がショーが公演いたしますぞ』
「魔女…?」
「実は私の分もあるんだ~!一緒にいこ!藍!」
それはいい。と思った。
「瑠香!ありがとう!!公演は…。今夜?」
「そうだよ。公演は11時チョッキしだから、公園で10時30分に集合ね!」
そう…このショーは、藍達にとって運命を大きく変える、カギだったのだ。