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激愛  作者: Lavia
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永遠の別離という結末 八話

体も心も凍りついた俺が向かう先は千夏の家しかなかった。


罵られても罵倒されても 千夏が生きていればいい



何度も何度も神様にそう頼んだ。



俺を拒む千夏の家の前に立った。

深呼吸をして門の中に入ろうとした時

数人のスーツ姿の男たちが出入りしていた。



忙しそうに出たり入ったりを繰り返す。



一人の男性が俺と目があった。


「あ・・・あの…千夏さんの友人で……」


そう言いかけたら




「あ…お参りの方ですか?

申し訳ありませんがお嬢様はまだ…こちらにお戻りではないんですが…

式場の方へいらしてもらった方がいいと

思いますので……」そう言うと手帳を出して

何かを書いて 俺に手渡した。





  式場……?



俺の心臓はもういつ止まってもおかしくなかった。




俺はそのメモを見るのが怖くて仕方がなかった。


恐る恐る目を落とすと


北国斎場   通夜は明日の夜になっていた。



  通夜・・・・・




夢なら覚めてくれ・・・・悪い夢を見てるんだ・・・・・。

朝からついてなかったから・・・・



頭の中が音をたてている。





「場所わかりますか?」


男性が声をかけてくれた。




「あ…あの…」俺は混乱して何て言葉を返していいのかわからなくなった。




「突然のことだったから…ご両親も混乱していて……

まだ…警察から戻って来ないんです。

お嬢様のご遺体は…まっすぐ式場に行くようなことも

言っていて私たちも待機中なんです。

かえって式場にいらしていただいた方が…いいと思います。」




「あ…今朝の交通事故で……?」



俺の口はもう…それを言うのが精一杯だった。




「公衆電話に車が突っ込んだんです。

今朝はしばれてましたからね、スピードを出していて

滑ったらしいんです……。

お嬢様は即死状態だったようです。」



「あ・・・・なんて・・・・」



俺は頭を抱えた。



目の前が真っ暗になってフラフラと歩き出した。




雪が急に強く降りだして・・・・俺の視界は今度は真っ白に変わった。



何度も転んでコンビニのある大きな道に差し掛かった時

五・六人の団体が向こう側からやってきて



「千夏…今日 こんたと駆け落ちするはずだったんだよ……。

なんで…こんなことに……」


一人の女がそう言った。


みんながシクシク泣いているのが俺にもわかった。



「千夏…千夏~~~!!」


団体は千夏の名前を叫びながら

俺の横を通り過ぎた。




「なっち……なっち……」俺も千夏を呼びながら歩いた。




俺のせいだ・・・・



きっと公衆電話で何度も何度も俺に電話をしていたに

違いないのに……俺の携帯は充電切れで



そう思うと千夏がどんなに心細かったんだろうと思った。



  なっち…これが夢なら早く…早く覚めてくれよ……



いつしか涙が頬をつたいだしていた。



雪の勢いが強くなってボロボロになった俺の姿を隠してくれた。

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