永遠の別離という結末 七話
いつまで待っても 来ない千夏に心も体も凍えていた。
俺は 十時すぎ・・・たまらなくなって公園を出た。
朝の冷え込み通りに 空は青い……。
どうしたんだろう…きっと見つかったのかも知れない…
とりあえず千夏の家のそばまで行こうと
歩き出した時に 公衆電話ボックスに車が追突したのだろうか
めちゃくちゃに壊れていて
それを数人の作業員たちが片づけていた。
俺も今日はめちゃめちゃ転んだし……
通り過ぎようとした時 その作業を見守っていた人たちの話声が
耳に入ってきた。
「いや~びっくりしたね。すごい音だったしょ。」
「ほんとさ…だけども可哀そうだったな……
俺今日は ショックで立ち直れないな……。」
「電話ボックスにいたんでしょ…あの女の子
まだ若かったよね……。顔はキレイだったけど・・・
ひどいもんだったね……。」
その言葉に俺の全神経が傾いていた。
「だけども…あんな時間にな…今朝ならしばれたベー…
あれ 誰かまっとって 寒くてあん中にいたんだろか……。
ついてないな・・・・。運転手も気の毒だったな……。」
俺は恐る恐る電話ボックスの方に視線をやった。
視界に入ってきたのは血をあびたような粉々に割れたガラスだった。
「あ…すいません…。」俺は恐る恐る立ち話してる人に声をかけた。
「交通事故ですか?」心臓が静かに音をたてている。
そんなはずない…落ち着けよ・・・
「そうなんだ~」喋りたくて仕方なそうに二人が話出した。
今朝 五時少し前 ものすごい音がして外に飛び出したら
車が電話ボックスに突っ込んでいて
その中にいた若い女の子が血を流して挟まっていて
慌てて119番通報したという。
五時少し前・・・
時間が変更になっていたからそれは千夏ではないと
思いながらも不安が頭を一杯にする。
「女の子は?」
「レスキュー隊が救出してたけど もう即死状態だったらしいよ。
ものすごい出血だったからさ……。
やっとボックスも撤収してくれてホッとした……。
俺はもう今日はショックで・・・ショックで・・・・。」
「どんな…どんな感じの子だったんですか…?」
「顔は傷なくて・・・キレイな子だったな…
髪の毛は肩くらいで…あれはまだ十代じゃねーかな……」
「あれボストンバックね…散乱してたっしょ。
下着とかなんか入ってて家出でもしてきたんだろっか…」
俺は全身の血がスーッとひいていくのがわかった。
まさか……まさか……
「病院に連れて行かれたんですか?」声が震えている。
二人は怪訝な顔で俺を見つめて
「いや…即死だもんさ……。
現場検証終わって 警察の車に乗せられて行った……。
可哀そうだった……」
俺の目から涙がこぼれてきて
それでも俺は
大丈夫 千夏じゃない
そう思い続けていた。
どうか両親に見つかって 家を出られない
そうに違いない……。
ここで死んだのは……違う女の子だ……ヨロヨロと足がもつれた。
俺は何度も転びながら 千夏の豪邸に向かって歩き出した。