表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
激愛  作者: Lavia
96/190

永遠の別離という結末 五話

「何かに使え。」親父が通帳を差し出した。



「え・・・?」俺の名前の通帳だった。



「これからいるだろ?」




「そうだけど…でもこれから大変なのに……いいのか?」




「おまえのためにっていうか

自分自身の後悔っていうか…少しづつためていたんだ。

何もしてやらんかったのに金だけためてな。

どんだけできの悪い父親なんだか…

言葉をかけるより金を出す方が楽だったんだな。」



「だって…かなり入ってるよ…」



「俺からの懺悔だと思って…受け取ってくれ。

家も保険もみんなおまえのもんだ。」




「あれ静江さんは・・・・?」





「おまえのかあちゃんと同じで出て行ったわ……」




「マジに?」

親父が悲しそうに見えた。



「女もさ…もっと言葉がほしいもんなんだな。

俺はそういうこといわねータイプだからさ…

まぁ・・・身から出た錆ってやつだ。

これからは いいおじいちゃんになって…孫が

全てになるから…楽しみだな……」




午前中から飲んでた親父は昼すぎに


「少しねてくる…」そう言って部屋を出て行った。



携帯が鳴った。



「あれ…?」職場からの電話だった。




俺は休みだったけれど どうしても人がいなくて

早朝ニ時間だけ出てほしいと店長から 頼まれた。

店の近くに越した俺は けっこうこうやって緊急に出されるけど

これから俺は 家族を持って 仕事をしていくうえで

ここんとこはちゃんとやっておきたいそう思っていた。



ニ時間か……

スーパーは二十四時間だから……

こういうことはよく起きるんだ。


明日は 日曜日で…俺と千夏は四時に待ち合わせをしていた。

その時間なら親もまだ寝ているということだったから。



仕事は七時には終わるから…それから汽車に乗って…

八時……八時なら…なんとか……



しかし連絡することができない。



恵美の幼稚園がこの近くだと言っていた。


俺は雪の中をメモを持って走り出した。




  恵美に託すしかない・・・・・。





実家から15分走ったところの教会の敷地に園があった。



「どうか…まだいますように…」



教会に近づくと子供の声が大きくなった。



俺はそのかたまりの中で恵美を見つけた。


ちょうど園バスが敷地に入ってきて団体が園から出てきた。


恵美はその団体から 吸い寄せられるように飛び出してきた・


「おにーちゃ~~~ん!!」



恵美がはしりだして俺の目のまえでニッコリ笑った。




「これを・・・おねえちゃんに渡してくれる?

絶対に渡してね。」俺は恵美のぷよぷよした手に癒された。





「わかったよ~~。ん~~っと」


そのメモを連絡帳にはさめて



「あんね…もうめぐ漢字も少しよめるんだよ。

すごいでしょ? 偉いでしょ?」



俺は得意げな恵美の頭を優しくなぜた。




「めぐちゃん!!何してるの!!」先生が血相を変えて走ってきた。



「やばい…必ず千夏に渡してね。」




先生は俺をにらみつけた。


「なんですか?変なことするなら警察呼びますよ。」



俺は慌ててその場から立ち去った。



恵美の後ろ姿を見ながら なぜか不安だった……。



先生が恵美を抱き上げてバスに乗り込んだ。




  恵美…頼むぞ……




消えて行くバスにそう願った。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ