永遠の別離という結末
「お腹…痛い…こんた……助けて……」
千夏が泣きじゃくる。
「赤ちゃんになんかあったら…許さない……」
千夏の両親は茫然としていた。
「とりあえず病院に連れて行こう。」
父親が俺を思いっきり突き飛ばした。
「こんた!? 大丈夫!?
もう…やめてよ暴力するの!!!」
「慣れてるだろう?きみは虐待されていたんだろう?
親にもまともに愛されなかった人間が千夏や子供をどう愛してやるんだ?
親と同じことをするんだぞ、血が流れているんだから。」
「いえ 俺に愛を教えてくれてのは
千夏です。千夏に愛し方を教えてもらって 俺はやっとまともになったんです。」
「だから…どうして千夏なの?
あなたにふさわしい子がいるじゃない。
千夏は将来 会社を経営してくれる優秀な夫と一緒になってもらわないと
あなた高校だってまともに行ってないでしょ!?」
「ママ・・・・?なんでこんたが高校に行ってないなんて言うの?
そう…前から聞きたかったの……。怖くて聞けなかった……
こんたの受験する高校に根回ししなかった?
だって…警察は被害者で受験生だからって…こんたもうちも
学校側には連絡しないって…言ったのに……
試験には受かってるのに…合格できなかったのって…
ママたちが…?」
千夏は放心状態になった。
「そんなこと知らないわ。」明らかに動揺してる母親
「ひどいわ…人の人生めちゃくちゃにする権利がママにあるの?
うちと仲良くしてたからでしょ?ひどいわ……
うち こんた になんて謝ったらいいの……」
千夏がまたへなへなと座り込んだ。
「これが親なのかと思うと 恥ずかしくてたまらない……
ごめんなさい…こんた うちと付き合ったばっかに……」
千夏は土下座をして雪に顔を埋めた。
「いいよ…。そのおかげで俺はこうしてなっちと
一緒にいれたし…社会に出る勇気もできたし…人間って忙しくしてる方がいいんだ。
だから…そんなに気にするな。俺は後悔してないから。
お金をかせいだから 携帯も買えたし プレゼントも買えたし…・・・一緒にいられたし…」
そりゃ…いい気はしなかった。
千夏の両親は卑怯な大人だと思った。
でも…千夏の親だ………。
「結婚するから!!もう決めたの!!
許してくれないなら 学校だっていかなくていいから!!」
千夏はまた叫んだ。
母親は泣きだして
「あんたのせいよ。
あんたが千夏の頭をいかれさせたのよ!!!」
「ママ とにかく病院だ。
子供のこともちゃんと調べんと。」
父親は千夏をひきずって車の中に押し込んで父親がすぐに乗りこんだ。
「なっち!!!」俺は車に駆け寄ろうとした。
暴れる千夏を父親が抑え込んだ。
恵美を抱いて母親が運転席に乗り込んで エンジンをかけた。
「こんた~~~ァ!!!」千夏の悲鳴
「なっち~~~!?」無情にもベンツは走り出した。
俺が千夏側のガラスに手をかけた瞬間 ベンツは加速して俺を振りきって走り去った。
千夏の真っ二つに折れた携帯が無残に取り残された。