恋の試練 六話
冬になると千夏の腹も少しづつだけ 目立ってきて
俺はお腹の子供に語りかける。
子供が潰れる気がして 千夏を抱きしめたまな二人の時間を過ごすことが増えた。
なんとか親に見つからず
受験に近づいてきて…千夏は子供をかかえながら
勉学に励む。
いつでも どんな時でも 一生懸命な千夏に
負けないように俺も仕事 学校と真面目に取り組む毎日だった。
高校の担任から
「大学の準備をしておけよ。おまえなら国立でも行けそうだし
俺たちと同業の夢を持ってくれてる
将来のホープは大事に育てないとな。」
担任は笑った。
千夏と出会ってから人が好きになった。
まともな人生を送れるようになったのも 千夏の愛に支えられてきたからだと感謝した。
だから子供が産まれたら 俺が二人を守って愛し抜くんだ。
「最近 太ったんじゃない?」って言われ始めたよ。
千夏が言った。
「お腹が可愛くなったからな~。
病院とか…そろそろ行った方がいいよ……。
俺も一緒に行くからさ……」
二人で数えていても もう千夏の子供は
両親によっておろされるという 恐怖からは免れる。
「妊娠のこと…話しに行こう。
ちゃんと挨拶しておきたいんだ。」
千夏の表情が曇ってきた。
「俺も…めっちゃ怖いけど…わかってもらおう…
一生懸命頑張るよ……。
俺ね~今の店の店長からずっと働いてくれって言われたんだ。
だから考えてた…俺は大学は行かないから……
卒業したら店に就職して……そうしようと思うんだ。」
「え・・・・。だって先生になるって・・・・。」
「いいんだって~なっちは夢に進め…
ちょっとだけ学校には行けないけど休学して体が落ち着いたら
戻ればいいよ。いろいろ調べたんだ。
そうしよう…俺は俺の夢はさ…なっちを守ることだけ…
そばにいてくれたらそれが俺の夢になるから・・・・・」
千夏の目から大粒の涙がこぼれる・・・・。
「愛してる…。こんな風にまともに生きれるなんて
思ってもいなかった。なっちに救われたんだ。
俺の人生…まだ18年だけど…生きてきてよかったって言える。
それだけ千夏に出会えた俺は…それだけでも財産で…幸せなんだ。」
千夏は俺の胸に飛び込んだ。
「愛してる…本当に今死んでも…何も…何にも後悔なんてない……。
うちも…こんたに会えて…最高に幸せだよ……」
震える可愛い唇にキスをした。