恋の試練 四話
高校に入ってから俺は 背がまた伸びて183センチになった。
ガリガリだった体は 家での筋力トレーニングと
仕事場での米や酒など 重たいものを荷おろし作業も手伝って
ずい分しっかりとしてきた。
お金をもらうことで食事もしっかりとれたし 心優しいパートのおばさんたちに
可愛がってもらっていい食事もとれるようになった。
「こんた……」 いつものようにベットの中で千夏が呼んだ。
「ん?」 俺は向きを変えて千夏の方を見た。
千夏は俺の顔を指でなぞって
「もう…これ以上 素敵にならないで……」とうつむきながら言った。
「え?素敵って…俺?」 嬉しい言葉についつい顔がほころぶ。
「だって…前はおっかない顔してて…みんなが怖がるような感じだったのに
今はさ~めっちゃカッコイイんだもん……。
だから…うち…心配なんだもん……。」
千夏が可愛かった。
「そんなこと言うのなっちだけだし……
サンキュー~全然もてないけどもし…もてても俺には
なっちがいればいいんだ。
他はなんもいらないから……」
「うれしい~~」
千夏の言葉がうれしかった。
男としては好きな女にそんなこと言われたらたまらないから
千夏にもっとドキドキしてもらえるような男になりたい
俺はそう思ってこれからもやって行こうと思っていた。
そんな幸せな日々に 突然思いがけないことが起きた。
今月に入ってから千夏が体調が悪いとぼやいていた。
「風邪でもひいたのか?」
「うん…熱っぽくて食欲ないの……。」
「そんなの俺に半分うつしちゃえ~」俺はそう言っていつものような
熱いキスを千夏と楽しんでいたけど……
仕事先に迎えにきた千夏
「顔色…悪いんじゃないか?」俺はさえない表情の千夏にそう声をかけた。
「あのね…」そう言ったっきり千夏が黙り込んだ。
千夏の言葉を待ったけど 沈黙が続いた。
「どうした?何か会ったのか?」 こんなに元気のない千夏は初めてだったから
俺は心配になって千夏を抱きしめた。
「どうしよう……。うちのこと重くならないで……」
「そんなこと思わないから…どうしたんだ?」
千夏が俺の背中にぎゅっと力を入れて すがりついた。
「あのね…うち…妊娠してた……」
俺の背中にスーーッと緊張が走った。