恋の試練 一話
「携帯が欲しいんだけど……」勇気を出して親父に言った。
親父はビールを飲みながら怪訝な顔をして
「高い授業料払うから…無理だな…学校行けるだけでもありがたいと思え。」
予想通りの答えが返ってきた。
「バイトでもすりゃいいだろーが。自分で稼げ なら買えるだろ…」
バイトか……
高校行ったら 家の事情とかでバイトができるって言ってたな~
そっか…バイトしたらいいのか~
携帯さえあったら 寂しい思いさせないのに
いつも心の中を語りあえるんだ。
合格発表の日
俺には手ごたえがあったから余裕の気持ちで 発表を見に行った。
しかし…俺の番号は何回探しても…見つからなかった……
うそだろ………
目の前が真っ暗になった。
数人が掲示板を見て安堵の声をあげていた。
なんで……俺…試験はできたはずだし……
絶望感にどこをどう歩いただろう……
学校に戻ることになってたから
気が付いたら門の前にいた。
「溝端……」 先生がくらい声で俺を呼んだ。
「先生…俺…試験はできたはずなんだけど…」
「俺もそう思ってる…おまえ頑張ったからな……。」
「なんで…ダメだったんだろ……」
先生は深くため息をついた。
「この間 警察の世話になっただろ?
それが学校側が知っていたらしいんだ……。」
「俺…被害者なのに……?」
「それでなくてもおまえに警戒してたからな。
警察は被害者だし穏便に済ませてくれたはずなんだが……」
「じゃ…千夏も?」
「多分あの子は大丈夫だろ……。
あくまでも被害者なんだからさ。
おまえは今までの行いと評判で…おとされたんだろう…。」
「そ…そんな…」
絶望感が俺を襲った。
「おまえみたいな子は絶対上の教育を受けさせるべきだ。
俺に任せておけ……」
先生がそう言うと俺の肩をポンポンと叩いた。
涙が流れた・・・・・。
悔し涙 後悔の涙
「負けんなよ。おまえは絶対にできる奴だって俺は信じてるぞ。」
「せんせ・・・・」
俺は声を上げて泣いた……。
先生に会えてよかった………
俺をわかってくれてありがと……
素直な気持ちを先生に話した。
俺はなんとか 定時制という形で 勉強をすることになった。