負けない気持ち 六話
「おかあさん あくまでもお嬢さんたちは被害者です。
そんなに責めたら可哀そうですよ。」
千夏についている婦人警官が母親の取り乱し様を見てそう言った。
「そうですけど…大事な受験もあるし…
こんな顔になって…第一この子に不良の子と付き合いがあるなんて…
そんな子と友達なんかじゃないわよね?」
典型的な教育ママって感じで
俺なんて絶対に受け入れられないだろうな・・・。
「ママ やめて。彼は悪い子じゃないから。
私の大切な人だから そんな言い方しないで。」
千夏はきっぱりと言い切った。
「ちーちゃん…あなた…いつからそんな
大切なって…どういう意味なの?まさか……」
「そうよ。付き合ってるの。
もうずっと前から。だからそんな言い方しないで。
ママでも許さないから。」
千夏の声に胸が一杯になった。
先生が俺の肩を抱いた。
「彼女のためにも…わかってるよな?
ちゃんとOKもらえるような男にならないと……」
そう言ってニッコリ笑った。
うれしかった・・・・。
誰より千夏が認めてくれているのが…まじうれしかった。
「溝端の名前は 本当のおまえ自身からかけ離れて大きくなりすぎだ。
勝手に一人歩きしてるから…今回みたいなことに
巻き込まれることになるんだ。
しっかりとした姿でそれを跳ね返さないといけないぞ。」
「はい…すみません……」
足音がして千夏が立っていた。
唇の腫れはさらにひどくなっていた。
俺は立ちあがった。
「ごめんな。痛いだろ……」
「大丈夫ったら~こんただってひどい顔よ。
お大事にしてね。
しばらくあんな状態だから 受験まで会えないわ。
私も力入れたいし……。」
そう言いながら三月のカレンダーの八の日を指でさした。
俺も思わすうなづいた。
「千夏!!!トイレってどこですか?」
母親が怒鳴ってる。
「じゃあ 頑張ろうお互いを信じて~」
千夏はそう言うとニッコリと笑って 母親のところに戻って行った。
俺も頑張るよ…生まれ変わって…
三月八日のカレンダーを見ながらそう思った。