負けない気持ち 二話
受験を目の前にした冬休みが開けた日だった。
久しぶりに会えた俺たちは一目のつかないところを探して
キスをしていた。
「塾で毎日勉強漬けで…こんたの顔みたらまた頑張れる~」
千夏はそう言って微笑んだ。
「俺は単願で受けるから…まだなんとかなるかな~」
「勉強しなきゃダメだよ。
人間ってその時々で与えられたことはきちんとしないと
幸せになれないんだって…あの時こうしたら
よかったとかうちは後悔したくない。」
俺の胸はグサッと音をたてた。
「こうしてこんたと出会えたことに感謝してる人生だもん。
ケチつけたくないんだ。だから私は絶対に夢を二つ叶える。
先生になること それから 溝端 千夏になること……」
千夏がはにかんだ。
「めっちゃ…可愛い…」
俺は千夏を抱きしめて 今度は熱いキスをした。
千夏の熱い唇に俺の唇はとけてしまいそうで……
いつもキスは気持ちよかった。
「こんたに…もっと触れてほしい…」
唇を離して千夏が甘い声でささやいた。
「俺だって…もう…限界……」
しかしこの厳寒な季節に…んなことをしたら
凍死してしまうから……
「俺早く 自分の部屋を持って
いつでも千夏と一緒にいたいな……。」
「うん……。一緒にいたい……。
そうなれるように頑張ろうね……。
それまで一杯こういう気持ちを貯金してたらがんばれるよ。」
「なっちの考えの転換は前向きだな~」
俺は唸ってしまった。
「夢をかなえるためなら辛いことだって全部~転換しないと…
大事なのは二人の強い気持ちだよ。
どんなことがあっても絶対にあきらめない。
二人でいることを……」
感動した…。
千夏の転換のおかげで俺はまっとうな軌道修正ができる気がする。
雪の中 手をつないで歩いてた…その時だった。
「あ~溝端じゃね?」 後から声がして凍りついた。
「女いんの?手つないでるし~~」
俺は咄嗟に千夏に言った。
「早く 家に帰れ……走って!!絶対振り向くなよ。」千夏の背を押して
千夏が押した勢いで走りだしたら 後から足音が近づいてきた。
俺は勢いよく振り返って 千夏を追おうとしてる奴の足元に蹴りを入れた。