負けない気持ち 一話
「一緒にいたい」
そんな気持ちが大きくなる……。
外で会う時間が少なくなった冬が過ぎて 春がやってきて
また恵美を含めて三人で会う時間が増えてきた。
愛し合いたいと思うことより 少しでも同じ空気を吸っていたい
どんな形でも一緒に時を過ごせることが
二人にとっての幸せだった。
中三になって俺以外は受験生になって 千夏もどうしても行きたい高校に向けて
準備が始まった。
私立の高校だけど うちの学校でも秀才たちが数人
目指している学校だと知った。
将来の夢を目指しての頑張れる
そんな千夏を見ながらうらやましいと思った。
俺には夢はなかった。
千夏と結ばれる夢はもちろんあったけど
自分が何をしたいとか どうなりたいとか……
こんな状態では何も見つけられなかった。
「おまえが進学する気ならおとうさんに話して見るぞ。」
担任が今だに決まらない俺を心配してくれた。
「仕事したい…仕事して早く家を出たい…」
「今は中卒では難しいぞ。せめて…高校は出ておかないと
将来がおまえが結婚したくても家族を養うことさえできないぞ。
男は仕事だぞ、もう少し勉強をして考えても遅くはないだろう?」
家族…養う……
「子供を幸せにする…それはおまえにとっても一番のしたいことじゃないか?」
先生の言葉に俺は泣けた…。
「俺みたいな子供にしたくない……」
あたりまえに与えられる愛を与えられずに絶望の中生きてきた……。
「おまえと三年間過ごしてきてわかったことがある。
おまえはやればできる 俺はそう思ってる。
真剣にやってみないか?自分の将来のために……。」
先生の説得で親父はあっさりと俺の進学を認めた。
「もしかしたらお父さんの中にも
おまえに対して愛情があるのかもしれないぞ。」
んなわけないだろ…
そう思いながらも そうであったら嬉しいと思った。
給食を食べるために毎日どんなことがあっても通った毎日が
俺を救ってくれるとは思わなかったけど
なんとか進学する高校も決まって
それを報告したら 千夏はとても喜んでくれた。
「素敵なことね。将来私たちが結婚する時
お互いに何かにうちこめていたらこんな素敵な人生はないわ。
こんた にも早く自分の道を探してほしい。」
千夏は志の高い人間だった。
そんな千夏に負けてはいられない……。
もっと愛されるように
千夏と同等になれるように…俺も頑張らないといけないと思った。