優しい光 七話
夏休みはやっぱり行っても会えない日が続いた。
携帯が欲しいな……
千夏に連絡するすべがないのが辛かった。
夏休みは俺にとっては地獄だった。
給食がなければ 俺はまともに食事にもありつけない。
ただ親父が俺にはもう暴力では勝てないとわかってくれたのか
殴られたりはしなくなったが
放置されるという虐待に変わって行った。
救いなのはこづかいをくれることだったから
多分これで暮らせということなんだと俺は悟った。
寝る部屋と風呂の提供 後は学費 最低限だけは親らしいことはしてくれたと思う。
家族としての居場所と食事 ぜいたくはできなかったから
携帯なんてもってのほかだった。
夏休みになると親父は俺を家においておきたくないようだった。
最初は意味がわからなかったが 新しい若い女と俺ができてしまうのが
怖かったらしく こづかいをさらに多くくれて
「夕方までどこかで遊んで来い。」と金をくれた。
俺にだって選ぶ権利があるだろーよ……
まぁ…金をくれるから俺にとってはラッキーだったけど……。
天気のいい時は千夏を待って
公園のベンチとその辺をウロウロして過ごしていた。
夏休みも半分すぎた頃 やっと千夏の姿を見つけて
俺たちは抱き合った。
「会いたかった~~~ァ~!!!」千夏は俺の胸で半べそをかいていた。
「俺もめっちゃ会いたかった~」会いたくて会いたくて
俺は素直に気持ちを千夏に言えた。
「私を待ってくれてた?」
「毎日来てたよ。まじに~このままなっちに会えなかったらどうしようって思った。」
「うれしい~~私も会いたくて死にそうだったの。」
「あれ?恵美は?」夢中で抱きしめていてちっこい恵美を忘れていた。
「まだ…両親とおばあちゃんの家にいるの。
明日帰ってくるから…私はどうしても家族より早く帰って来たくて……
嘘ついて…先に戻ってきたから…
きっと会えるって信じてたから……すごくうれしい~~」
俺は強く抱きしめ過ぎて千夏が折れてしまうんじゃないかと
心配になったけど…でも…本当にうれしかったんだ。
会いたさ 恋しさ 募っていたから……。
「今日…うち…に来て…誰もいないから……」千夏はそう言った。