優しい光 三話
「腹減ったな~~~」
思わずつぶやいたのは それから数日たった夕暮れ時だった。
家にはとりあえず寝るだけで・・・最近はまともに食えるのは給食のみ
とりあえず親父がよこす小遣いで菓子パンを買ったりして
空腹をしのいでいた。
だけど成長期の男には少なすぎる栄養で
それでも背だけはヒョロヒョロ伸びるから俺はやせっぽちであばらだらけだった。
げっそりしている頬を見て先生が
「おまえ食べてるのか?」と聞いてきたけど
「ま…ほどほどに…」と答えた。
行政にわかったところで今まで何も変わらんことわかってるから…
俺はもうここでもう少し耐えて
中学卒業したらどこか住みこみで仕事を探すつもりだった。
「なんか食いて~~~~ぇぇ!!!」
俺はイライラして叫んだ。
「はい…どーど!!」声がして俺の手を柔らかい手が包んだ。
俺は驚いて体を起こした。
「あ…おまえは風船のチビ!!」
「おにーたん どーど!!」女の子は俺にグミをくれた。
「グミじゃな~」でもうれしかったから
「あんがとな~」そう言って口に甘いグミの味が広がった。
女の子の笑顔にすさんだ心が一気に晴れた気がした。
「めぐ~~~!!めぐ~~!!!どこ~~!!」
「おねーたーん!!!」ちっこいのが大声で叫ぶと
まっさおになった女がものすごいスピードで走ってきた。
「はぁ…はぁ…めぐ…もう!!」
女の子は小首をかしげて女を見て
「おにーたん お腹すいた」そう言うとまた俺にグミをくれた。
「グミじゃお腹一杯にならないね~」
そう言って額に輝く汗を拭いた。