優しい光 二話
喧嘩に明け暮れた。
喧嘩して 喧嘩して 毎日喧嘩して……
そして虚しくて……ヘコヘコついて来る奴はいたけど
俺は一人で平気だったし
でも面倒くさいからほっといてるうちに
増えてきて 不良グループの頭だとか言われるようになった。
俺の名前をつかってそいつらがテキトーに暴れてくるから
俺はいつの間にか スゲー怖い奴というレッテルをはられてしまった。
だからチャリンコに乗って
遠くまで出かけてきて 俺が知られてないとこまで遠出してきて
一日中公園でボーっとしてたり……
とにかく一人でいたいと思っていた。
「とって~~ねーたーん!!
ウワ~~~ン!!!」駄々をこねるガキの声が耳触りだった。
「また買ってあげるから…我慢して…」
「ヤダ~~ヤダ~~~!!!」
そんなやりとりをくり変えてるから俺もどんどん腹が立ってきた。
「おい!!!うっせーぞ!!黙らせろや!!!」
俺は体を起こして大声で威嚇した。
俺の前にいたのはまだ一歳くらいの女の子と
制服姿の俺くらいの女だった。
「え?」女が俺の顔を睨みつけた。
「うっせーんだよ。あっちいってやれや!!!」
「は~?うちの妹がさどーして泣いてるかわかんないの?」
俺は女の迫力に驚いた。
だって俺に言葉を返してきた女は今までいなかったから。
「あんたがその座るベンチで寝てんのが邪魔なんだよ!!」
女が俺の後を指差した。
は????
指した方向を見るとベンチの裏の木に赤い風船がひっかかってた。
「あんたが邪魔だから妹にあきらめさせてたのよ!!
体起こしたんだったら取ってくんない?
あんたでかいんだからさ!!」
その言葉に素直に従った自分に驚きながら
俺はベンチの上に立って赤い風船をとって小さい方の女の子に渡した。
「あがとーおにーたん!!」その子はまだ頬に涙の後が残っていたけど
ニッコリと微笑んで小さい手で糸を掴んだ。
生意気な方の女が
「よかったね~メグ~」そう言って抱きあげた。
「ありがとね。助かったわ。」
そう言うと 俺の前から立ち去った。
「なんだよ…あの女……ムカつくな~~」
中二の春……
それが俺と千夏…そして恵美との出会いだった。