表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
激愛  作者: Lavia
60/190

愛の形  九話

彼はお昼頃やってきた、



「まさか…ここに来るなんて思ってもいなかった。」




「ごめんなさい…。呼びつけて…渡したいものがあって……はいって下さい…」



彼の緊張感が伝わって来る……。



「おねえちゃんに会っていって……」彼を仏壇の前に連れて行った。



「な…なっち……」彼が遺影を見て声を震わせた。

そして線香をあげて 長い時間彼は 手を合わせていた。


その間に私は コーヒーをおとした。

香りが広がっても 彼はまだおねえちゃんのところから戻って来ない。




「先生・・・。」 私はもう先生としか彼を呼べないのが寂しい……。




「コーヒーはいったけど……」



「あ…ごめん…」先生は立ちあがって私の方に歩いてきた。



「お参りしたかったんだ……。お墓には行ってたけど……

葬式の時には…門前払いで…結局……お参りできてなかった。

ありがとう……」



彼の目が潤んでいた。

私はそれに気づかない振りをして コーヒーを出した。



しばらく無言で コーヒーを飲んだ。



「渡したいものって…何なんだ?」




「あ…こっちです……。」荒治療が始まった。




二階にあがって 彼を案内したのは おねえちゃんの部屋





「ここは…?」彼の表情が困惑してる。



「おねえちゃんの部屋・・・。ママが掃除してるから…そのままなの……。」




彼は部屋中を見渡して 壁にはってあるポスターを見て笑った。



本棚を見ながら指で本をなぞって 一冊の本に手を止めて 吹き出した。



ここに彼がはいったのは初めてだろうけど…彼にはわかるメッセージがあるのか

時折笑顔で思い出すように 静かに見ていた。



その様子に 複雑な嫉妬を覚えながら……

私は彼にあのノートを渡した。




「これは?」




「なんか日記っていうのかな…とにかく先生のことばっか書いてある…」




彼は椅子に座って机でノートを読みだした。



時折声を出して笑ったり 感慨深く天井を見たり

私はそんな彼を見ながら…おねえちゃんに嫉妬していた。



  おねえちゃん…ずるいよ……



死んでも彼を離さない……。

二人の愛の形って…いったい…どんな形を二人で作ってきたんだろう。



その様子を小さかった私はそばで見ていて

記憶があったら辛かっただろうな……。



だってきっと私は…その時には間違いなく初恋を経験してるだろうから……


その時の記憶がなかったことを 感謝していた。

彼は今…昔に戻っている。


おねえちゃんの愛の言葉の数々に 出来事・・・・幸せそうに彼が笑顔でそれを読む・




わかっていたけれど…見たこともない彼の表情が私の心を刺すんだよね…。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ