愛の形 二話
「今日はもう遅いよ…帰らないと親心配するだろ?」
「いいの。心配したって…私は親より…あなたの方が大事だもの。」
「少し頭冷やしてさ…俺は別に逃げないし…」
「なんで…そんなに拒否するなら…どうして私と付き合ったの?」
彼はスウェットに着替えてしまった。
自分だけまだ…間抜けな全裸で…情けなくなった。
「恵美が告ったんだろ?」
「そうだけど……でも運命って言ったじゃん…」
コーヒーをおとす香りが充満した。
「運命だよ……。俺にとってはこうなることも
全部シナリオ通りなんだけどね……」 冷たい横顔が…非情に見えた。
「シナリオ通りって……。」
そんな簡単な言葉で済まされてショックだった。
「でもさ…ちょっとシナリオ変更したいんだ。」
その後の言葉を聞くのが怖かった。
「別れよう。」
体の血がスーッとひいていくのがわかった。
「やだよ…そんなこと言わないでよ…。
予定のシナリオでは別れないんでしょ?
そのままでいいもん……。」
「状況が変わった…って言っただろう?」
優しい声に変わった。
「私が髪の毛を切って おねえちゃんに似てなくなったから?」
「そうだよ・・・って言ったら?」
「じゃあ エクステつけるもん……
私がおねえちゃんじゃなくて 私を愛してって言ったから?」
「そうだよ……。」
「じゃあ…おねえちゃんだと思って愛してくれていい…」
涙の大洪水になっていた。
「やだったけど…別れるって言うなら我慢するもん……。」
「…山岸先生と結婚するよ…。」
「え・・…?」 目の前が真っ暗になった。